4)経済の低成長
人口が減って、消費が低下すれば、投資も起こりにくくなります。そして現役世代の数が減れば、労働力の供給も不足します。
これらから、経済成長に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
5)家族格差の拡大
各家庭の子どもの数が減る形での少子化であれば、家族の間の格差は少ないですが、結婚をしない人が増えることによって少子化が起こっていることから、将来は、子どものいない家庭が増えることが確実です。
つまり、ある家庭は結婚して子どもが2人いて、ある家庭は一人暮らしといった家族の間の格差が拡大するという予測がされています。
一人暮らしの老人の問題が、今以上に深刻化する可能性が高いと言えます。
6)地方格差の拡大
大都市圏は、出生率が低いですが、若者の流入が多いことから、出生数はあまり変わらず、少子化は深刻ではありません。
一方、地方は出生率の低下が小さくても、それ以上に若者の流出が多く、出生数が激減し、過疎化が進んでいます。
地方と大都市の間の格差が、さらに拡大していくことが予想されます。
7)世代間格差の拡大
現在、政治的に最も問題とされているのが、世代間格差です。
2008年時点での
高齢者と、若者の生涯受益格差は実に1億2000万円
と言われています。
負債を計算に入れると貯蓄額は、65歳以上では64歳以下の3倍程度になっています。
これは、さすがに差があり過ぎです。
国際的に見ても、日本の世代間格差は突出して大きいです。
グラフ16 Kotlikoff et al. (1999) Generational Accounting Around the World
なぜこんなことがおこっているかというと、急激な少子化により、年金、医療などの社会保障費の現役負担割合がどんどん大きくなっていくからです。払うお金は多くなりますが、受け取るお金は減っていきます。
このままでは、その差がどんどん開いていきます。
その他の原因として、経済の停滞と、雇用形態の変化も挙げられます。
今の高齢者は、高度成長期と終身雇用制により安定した収入と収入の増加を得てきました。
それに対して、今の若者は、低成長の時代を迎え、将来に予想される収入の増加があまり大きく見込めないことや、雇用形態の変化と非正規雇用等の問題で、安定した雇用と収入を得られない可能性が大きくなっています。
加えて、
若者が選挙に行かないため、
政治に声が反映されません。
ほとんどの政治家は、選挙に勝つために活動しています。モラルの問題ではありますが、現在の選挙の仕組みからすれば合理的な行動です。
お年寄りはみんな投票に行きますが、若者の多くは投票に行かないので、
ただでさえ、人数が少なくなっている世代なのに、さらに投票率が低いのですから、
政治家からすると、若者はいないのと同じです。
票のことを考えれば「若者のために働きます」と言うより、「ご老人のために奉仕いたします」と言った方が当選しやすいですから。
自然と政策は高齢者寄りのものになっていき、世代間格差はなかなか改善されないこととなります。
世代間格差の解消には、まず、若者の政治リテラシーを引き上げ、若者の投票率を上げなくてはいけないのです。
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