舛添知事は、制定の方針だった受動喫煙防止の条例化を見送る考えを示しました。
自民党の強い反対を受けてトーンダウンした模様です。
五輪都市東京:たばこ規制失速 自民異議、条例見送り:毎日新聞(2015/1/6)
わたしは、東京オリンピックの開催が決定した直後の一昨年、都議会議員全員に受動喫煙防止条例制定についてアンケートをお願いしました。
都議会自民党には「各種団体との関係もあるので答えられない」と大変正直な回答を頂きました。
都議会議員127名全員への受動喫煙条例に前向きなのかアンケート結果
(海老澤由紀ブログ:2013/10/29)
商業施設の支援者や財務省、JTなどに配慮しなければならないのでしょう。
政党の体質から考えると仕方がないことで、対応自体は誠実だったと思いますが、条例の制定を望む側からすると、自民党には一切期待できないと感じました。
当時、他党にもアンケートをお願いしましたが、受動喫煙防止条例に積極的だったのは唯一、共産党だけでした。
この時点で受動喫煙防止条例の制定をお願いするならば、共産党に投票するしかありません。
まあ、はっきり言って、今回の自民党の反対や条例先送りも当時の予想通りです。
残念ながら、一部の強固に反対する人達のために受動喫煙対策は進みません。
国で「受動喫煙防止法」が制定できる可能性は、自民党政権である以上、限りなくゼロに近いと思います。普通に考えたら、都においてもそれは同じことでしょう。1964年東京オリンピックで生まれたピクトグラムと禁煙のおもてなし
(海老澤由紀ブログ:2013/11/16)
このような状況の中ですが、当時消極的だった野党議員の中からも、ようやく受動喫煙条例について問題意識を持ち始めた議員が出てきました。期待しましょう。
都庁・都議会議事堂が喫煙天国なのに、禁煙(受動喫煙防止)条例ができるわけもない:音喜多駿
さて、オリンピックを前に、受動喫煙防止条例の制定ができないことも恥ずかしいことだと思うのですが、今回は、分煙について感じていることを書きたいと思います。
舛添知事は、「受動喫煙防止に向け飲食店が分煙するために必要な工事費を助成する」考えを示しました。
公共空間での受動喫煙防止に向け、飲食店が分煙のための間仕切りを設ける場合に工事費を助成する考えを示した。屋外に空気清浄機能付きの喫煙ブースを設置するケースについても「電気代などの点で、都が財政負担することを考えている」と表明した。
(時事ドットコム2014/12/25)
世界的には、換気や分煙では受動喫煙をなくすことができないとして、タバコ規制枠組み条約により、分煙は明確に否定されています。
日本でも、厚生労働省により「公共の場所は原則全面禁煙であるべきとする方針」が示されています。
にもかかわらず、分煙施設をつくるために税金を使うという無駄遣いが気になります。
とりあえず体裁だけ整えよう、飲食店の反対で完全な受動喫煙対策は難しいから、分煙にして助成金でごまかそうという思惑が見え隠れします。
国の方向に目を向けると、厚生労働省が職場での受動喫煙防止を推進するために、分煙の助成金を出しています。
受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援):厚生労働省
1事業所あたり上限200万円、工事費の1/2まで助成される仕組みです。
以下は「都道府県別 受動喫煙防止対策助成金 利用状況」です。(厚生労働省より)
平成23年は18件で約1,200万円でしたが、平成25年は347件で3億7,346万円が助成されています。
2年で件数は約20倍になり、助成金は30倍以上になっています。
単純計算で1件あたり100万円ちょっとです。
助成金を利用できた場合でも、最低でも同じ額を分煙施設設置のために、職場側が負担していることになります。
東京都が本格的に助成を始めると、さらに私たちの税金で、莫大なコストの喫煙専用ルームが作られていくことになります。そして、飲食店側にも負担が発生することになるでしょう。
舛添知事は厚労大臣も経験しており、分煙が正しい方向性ではなく、一時しのぎだということを十分に認識しているはずです。
有効な分煙に至るには、助成金を出しても、各飲食店の負担は相当なものになります。
そして、時代の変化とともに分煙施設は無駄なものへと変化していきます。
急に全面禁煙にした場合、売上が減少するのではないかと懸念する声もよく聞かれます。
飲食店を経営する立場なら、分煙・全面禁煙のどちらにしろ、受動喫煙問題は死活問題と捉えて当然だと思います。
しかし、飲食店に配慮するなら、むしろ一律全面禁煙にしたほうが商業的にも飲食店にやさしいのではないでしょうか。
中途半端に吸える店と吸えない店があることで、禁煙の店舗には喫煙者が入店を避ける原因になります。これを避けるために分煙のためのコストが必要です。
しかし、どこに行っても吸えないのなら条件は同じになります。分煙施設をつくるコストも必要ありません。
ファミリーレストランのロイヤルホストは2013年11月1日より全店舗で全席禁煙にふみきりましたが、前年度と比べて、売上げ・客単価・客数ともに伸びています。
これをみると、「禁煙=売上げが落ちる」という方程式は、単純には成り立たなくなってきていると言えるのではないでしょうか。
ロイヤルホストの全席禁煙で、売り上げは伸びるのか→伸びる:More Access! More Fun!
平成25年のJT全国喫煙者率調査では、昭和41年に83.7%あった成人男性の平均喫煙率は32.2%、女性で10.5%まで下落しています。
2割の人しかタバコを吸わない時代です。
さらに、その2割の喫煙者の中でも、実に7割がタバコをやめたいと考えています。
受動喫煙防止は、公的な場所での迷惑防止目的で、「吸う権利」を否定するものでは全くありません。
ただ、世界的な流れや健康増進法のことを考慮すると、わたしたち全員の生みだした税金から、分煙の莫大なコストを負担することには疑問を感じないわけにはいきません。
助成金で莫大な税金が使われ、さらに飲食店も大きな負担をこうむる。
このままでは、先にあるのはそういう状況です。
せっかく訪れたオリンピック開催というチャンスを生かして、受動喫煙防止条例を制定し、公的な場所は全面禁煙の方向性にする。それが一番だと考えます。
もし飲食店等に助成金を出すならば、際限ない分煙施設設置のためのコストを払うのではなく、「経済情勢の変化等に対応し、経営基盤の強化を図るための補助」つまり、一時的に客足が落ちるならそれを金銭的に一時補助する方向の政策を行うというのが、正しい方向性なのではないかと感じます。
<都議会の受動喫煙防止条例関連記事一覧>
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都議会議員127名全員への受動喫煙条例に前向きなのかアンケート結果(2013/10/29)
1964年東京オリンピックで生まれたピクトグラムと禁煙のおもてなし(2013/11/16)
(参考記事)
千代田区歩きタバコ条例〜ポイ捨ても減った〜(2013/5/8)
だけどこれまで喫煙者が払ってきた税金を考えたら、まだ差し引きプラスだと思います
私達の税金と言いますが、喫煙者の税金も入ってます
全面禁煙はひどすぎです
吸って良い場所用意してくれれば文句ないので、そこで折れてくださいおねがいしますw
あと、今の情勢見て思うんですけど、これから先若い世代はタバコを吸わなくなると思いますので
焦らなくても、いずれタバコは撲滅できると思います
ということで希望は捨てないでください
ではさようなら
やめたい人間が7割もいるのに、それを売ってるんだから、分煙も全面禁煙もおかしな話し。
国民の健康がどうのってのも、同じ。
売ってるのに健康がどうのって。
無駄な税金を投入して分煙施設?
論点が違う。
売らなくして、7割の方々を少しでも楽にさせてあげて下さい。