えびさわ由紀

待機児童解消を考える①〜保育園の行政コスト〜

待機児童

待機児童の解消にあたって、検討しなくてはならない課題がいくつかあります。
そのうちの一つ、コストの問題を考えます。

年齢別の詳しい資料を出している杉並区の例で見ると、ゼロ歳児ひとりを保育園で面倒見るのにかかるコストは、自己負担分を除いて年間374万円(平成24年)です。
親の負担は平均すると月あたり約2万5千円ですが、さらに月30万円以上の税金が使われています。

 

 

認可保育園に入れた家庭では、税金から公的補助が月に30万円されていると考えることが出来ます。
待機児童になった家庭では、それが受け取れていないことになります。

待機児童になってしまうことを恐れて、自宅で保育する期間を短縮して、ゼロ歳児から保育園に入れようとする動きもおこっています。
このことが、ひとりあたり月30万円の無駄を出しているというとらえ方も可能かもしれません。

1歳以降でも、5歳まで一定額の税金による行政コストが発生しています。
0〜5歳までの平均だと、杉並区で年間213万円、世田谷区の場合で年間181万円となります。

 

 

さて、このコスト面だけを考えます。
男女共同参画、少子化問題、その他のことは今回は考慮しないでおきます。

まず、かかっているコストに比べて負担金が安すぎます。
子どもを預けると、ゼロ歳児で月33万円、0~5歳通しでも月18万〜20万円程度の費用がかかるのです。
そういうことを、預ける人はわかっていないと思います。
コスト意識をきちんと持ってもらい、もう少し個人に負担してもらうことも考えないといけないかもしれません。
しかし、負担額が増えると、ただでさえ所得が低い若い人たちにとって、ますます負担になり、次の子どもを考える妨げになる可能性は出てくるでしょう。

待機児童がどのくらいいるのかという問題は別に考えますが、待機児童ひとり解消するためには月20万円のコストが必要になるということです。

コストだけを考えると、0~5歳の子どもひとりにつき、月20万円現金で渡してしまったたほうが良いかもしれません。
20万円もらえるなら、家にいて自分の子どもの面倒をみたいという親はたくさんいるでしょう。逆に保育園が空いてくるのではないでしょうか。一気に待機児童も解消です。

自分の子どもを自宅で保育することに対する給料を払うと考えると、そんなにおかしくない気もします。
自宅保育ママといったものでしょう。

今回、結論のようなものはありません。
シリーズとして続けて、他の課題についても検討してからまとめたいと思います。

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