教育こどもの予算委員会で5つの項目について質疑を行いました。
①子ども相談センターの機能強化について
②子どもサポートネットについて
③教員の働き方改革について
④水都国際中学・高校について
⑤児童虐待防止対策「精神科医療機関」との連携強化について
①子ども相談センターの機能強化については以下5点について質問させて頂きました。
Q1:児童相談所と関係機関のシステム連携
Q2:児童相談所の4ヶ所体制に向けた人員確保
Q3:人事異動
Q4:人材育成
Q5:コロナウイルスによる学校園休業に伴う対応(学校園の見守りを条件に一時保護解除された子どもの安全確認)
今回の質疑では、虐待されて一時保護された子どもたちが、一時保護解除の際に、学校園の見守りを条件に家庭復帰をしている場合があることから、コロナウイルスで学校園が休校になっている現在、誰がどのように子どもの安全確認をするのか対策について質問しました。
質問から24時間経たないうちに、関係機関が動いて下さり、対応方針の策定がなされ全市一丸となって対応にあたるとのことです。
以下のリンクから録画をご覧になれます。(9分~24分あたりです)
大阪市会録画配信(2020.3.5)
<全文>
【Q1】
・こども相談センターの機能強化について伺います。
・まず、児童虐待の早期発見や早期対応のためには、関係機関の連携による情報の共有が重要であることから、新たに児童相談等システムを開発しています。
・平成31年3月の教育こども委員会で我が会派の佐々木委員からも、児童虐待に対して効果的な支援を行うため、よりよいシステムを開発するように要望を致しました。
・そもそも、現在稼働している児童相談システムにはどのような課題があり、新システムではどのようにその課題に対応するのか。
・また、進捗状況について確認させてください。
【A1】(こども青少年局 こども相談センター 調整担当課長 田村)
・現行の児童相談システムは、単体のシステムであり、住民情報システムや総合福祉システムと連携しておらず、加えて児童虐待通告の進捗管理等を庁内パソコンで行っており、入力作業が二重になる等業務の効率が悪いことが大きな課題となっています。
・新システムでは、福祉サービスや母子保健サービス等の情報が集積されている「総合福祉システム」内で開発することにより、様々な福祉サービスの受給情報を把握することができるとともに、総合福祉システムが連携している住民基本台帳等事務システムとも連携できるようになります。
・さらに児童虐待と密接に関連するDV相談に関する情報を管理する機能を新たに持たせ、児童虐待情報と一元管理することになります
・一方システム開発状況については、現在、システムの基本設計が終わり、令和2年度は詳細設計、製造、試験を行い、3年度当初に開設する北部こども相談センターに合わせて本格稼働ができるように進めてまいります
【Q2】
・児童虐待は、早期発見・早期対応が重要ですので、効率的に必要な情報を共有できるシステムは非常に有用であると考えます。
・北部こども相談センターの整備に合わせて開発されますが、システム開発が遅れることがないように、また本格稼働することで効率的な業務を可能とすることから、職員の負担軽減にもつなげていけるようお願いします。
・次に、市長が「重大な児童虐待ゼロ」を掲げ、4か所目の児童相談所を設置する方針が決められ、令和3年度に北部こども相談センター開設、令和6年度に現こども相談センターを移転開設、令和8年度に4か所目の児童相談所が開設され、4か所で運営する体制が整います。
・今後、2か所から4か所にしていくため、大幅な増員が求められていますが、そうした中、当面は現在の2か所の庁舎を活用して増員計画を実行していくことになりますが、現時点での考えをお聞かせください
【A2】(こども青少年局 こども相談センター 調整担当課長 田村)
・中央区森ノ宮のこども相談センターにおいては、南部こども相談センター管轄区域を除く20区の担当区域の職員を計画的に増員しています。現在は令和3年4月に開設を予定している北部こども相談センターの職員を増員しています。北部こども相談センター開設後は、4か所目の児童相談所の職員を増員していく予定です。その間のこども相談センター庁舎内は、一時的に狭隘状態が続きますが対応は可能と考えております。
・一方、南部こども相談センターは、現在の管轄区域に係る職員を増員していくことになります。現状において、既に狭隘状態になっており、近々に限界がくるため、今後、事務スペースや面接室の確保について速やかに検討を行う必要があります。
・このようなことから、今後の計画的な職員配置のため、スペースを確保し、一時保護所の環境改善と併せて、南部こども相談センターの整備手法について検討が必要であると考えています。
【Q3】
・整備については、平成28年10月に開設した南部こども相談センターについては今回の予算案には掲げられていませんが、もとの建物は、昭和58年に建築された建物で、今後の増員計画や一時保護所の環境改善にどう対応していくのか、今後早期に整備手法を検討し、具体化していくよう要望しておきます。
・次に、こども相談センターの人材育成について伺います。職員体制の強化として今後大幅な増員が予定されていますが、専門性を維持しながら人材育成をしなければ、いくら増員をしても事実上は機能しません。
・一方で、本市では組織としての最大限のパフォーマンスを実現するために、定期的な人事異動を実施しております。当然のことながら人材を活用する観点から、客観的な評価のもとに適材適所の人事配置をしていくことは大切です。
・そこで問いたいことは、定期的な人事異動で今後こども相談センターを背負って活躍する人材としてこども相談センターで育成した職員や意欲を持った職員も、特別な配慮なく定期異動で他の部署に異動してしまうこと等はないのか。
・本市職員の積極的な活用と現在の職員の異動についての配慮も重要だと考えますが、お考えを聞かせて下さい
【A3】(こども青少年局 企画部 総務担当課長 松田)
・現在、児童相談所の複数設置と児童福祉法の配置標準に基づく計画増員により、新規採用者や所属間交流や局内異動者で、毎年30名程度はこども相談センター業務に初めて従事する者が配置されています。
・そのため、児童福祉司の平均勤続年数が平成20年度4.3年であったものが、今年度では2.8年と短くなり、今後も大幅な増員が予定されているため、その年数の低下が予想しています。
・そうした中で職員の専門性を維持するには、こども相談センターの組織強化をしなければならない期間については、通常の人事異動サイクルも踏まえつつも継続して勤務し実務経験を積んでいく必要があります。
・そのため人事異動の際には、本人の意欲や能力をふまえつつ、児童福祉分野のスペシャリストの育成と組織体制の強化ができるよう関係部局と連携してまいります。
【Q4】
・では、人事異動や新規採用で新たにこども相談センターに配属された人材をどう育てるかが重要な課題であると考えますが、例えば児童福祉司として任用されるためには、社会福祉士など児童福祉法第13条で示される児童福祉司任用資格を取得が必要です。
・児童相談所の専門性強化のために厚生労働大臣が平成28年度に制定した研修では、児童福祉司の任用前講習として20コマ30時間、児童福祉司任用後の研修を20コマ30時間の受講が義務付けられています。
・しかし、単に資格を持って講習や研修を受講したからと言って、簡単に児童福祉司が育成できるならば、大量に人材を育成できるかもしれません。基礎知識をベースに持つことは当然、重要ではありますが、もっとも必要なことは、実践の中で得られる知識や経験知であると考えます。
・意欲をもって入ってきた職員が、困難な場面に直面し、心が折れそうになっても、「うまく適応できる能力」(レジリエンス)を持てるように育てていくために、こども相談センターでは、どのように人材育成しているのかお聞かせ下さい。
【A4】(こども青少年局 こども相談センター 運営担当課長 田宮)
・委員ご指摘のとおり、人材育成には実務経験が必要であるので、配属後数か月は先輩職員がいっしょにケースを担当し、マンツーマンで指導に当たっています。
・加えて、児童福祉司の指導と教育を担当する児童福祉司スーパーバイザーについては、児童福祉司として5年以上の経験を有する担当係長を基本とし、概ね児童福祉司5名に対し1名を配置しています。スーパーバイザーは、保護者との対応や関係機関との連携方法など、個別のケースワークに必要な面接技術や知識を伝えるとともに、部下である児童福祉司の気持ちや悩みを受けとめ、精神的にも支えています。基礎となる資格と研修だけでなく、日常的なスーパービバイザーの助言や指導により、児童福祉司の育成と専門性の向上に努めているところです。
・また、児童相談所には、児童福祉司だけでなく児童心理司や医師、保健師などさまざまな専門職がおり、受理した相談への対応方法や援助方針を多様な観点から審議し組織的に決定しています。スーパービジョンに加え、このような会議の場も教育訓練の場となっていますし、職員が問題を一人で抱え込むことを防止することにつながっています。
【Q5】
・こども相談センターは、児童福祉をはじめ児童虐待の対応の中核的役割を果たすことから、人材確保や人材育成に係る人事異動については、より専門性を有する職員を確保育成するとともに、中長期的な人事マネジメントができるよう組織体制を構築していくようお願い致します。
・最後にコロナウイルスによる学校園休業に伴う対応について伺います。
現在、新型コロナウイルス感染症に拡大させない、感染のピークをずらして行くために様々な対策が取られています。そうした中、幼児児童生徒の感染予防の観点から、大阪市立全学校園について、当面の間、臨時休校とすることが決定されました。
児童虐待のケースでは、一時保護解除や児童福祉施設等の措置解除の際に、学校園の見守りを条件に家庭復帰をしている場合があると思うが、現在、学校園での見守りが出来ない状況の中で、どのように子どもの安全確認をするのか、対策をお聞かせ下さい。
【A5】(こども青少年局 こども相談センター 虐待対応担当課長 岩田)
・こども相談センターでは、児童虐待のケースで一時保護解除や児童福祉施設等の措置解除の際に、学校園の見守りを前提に家庭復帰をしている場合があります。
・このようなケースについては、学校園での見守りのほか、こども相談センターが継続的にセンターでの面接や家庭訪問等により状況を確認しているところです。
・こども相談センターおよび南部こども相談センターが虐待により継続的に関わっているケースは、おおよそ600件であります。
・夏休み等の一般的な長期休業であれば事前に休みに入ることがわかっておりますので、学校等関係機関ともそのことを前提に見守り体制をつくりますが、今般緊急で学校園が臨時休業となったので、委員ご指摘のように学校園での見守りが困難な状況があります。
・このような子どもは、学校等にも行くことができないとすれば終日家庭で生活することになるため、親子関係が煮詰まったり家庭での養育負担が増したりする等、虐待リスクが高まる可能性があります。
・当初の見守りの必要性と虐待リスクの高まりの可能性を考慮し、ケースに応じて家庭訪問頻度を増やす、あるいは電話で保護者や子どもから話を聞くこと等により、状況の確認と保護者や子どもの負担感の軽減に努めています。
・なお、家庭訪問や面接等により一時保護が必要と判断した場合は、援助方針を見直し、適切に対応します。
<要望>
学校園に行っている時は、毎日、先生が子ども達の様子を見ることができます。
家庭訪問頻度を増やしたり電話をするとしても、毎日の確認と比べると子ども達を見守る体制が非常に脆弱になるといわざるをえません。
継続的に関わっているケースが600件とのことですが、子どもや保護者との接触の際は、より慎重により丁寧に対応いただくことをお願いしておきます。