議会関連

教育子ども委員会「妊婦のPCR検査」についての質疑

不安を抱える妊婦の分娩前PCR検査に対して検査料を助成する事業が7月27日より始まりました。
助成対象はあくまで「無症状」でかつ「自ら希望した方のみ」に限定されています。医療機関側の院内感染防止などの都合によるものや、医師の希望によるものは対象外です。つまり、対象はあくまで「不安を感じている妊婦」に限られています。(詳細は参考資料を参照してください)

出産間際の妊婦がPCR検査で陽性判定がされると、分娩管理時間の短縮を目的とした帝王切開になる可能性があり、妊婦自身にとって大きなデメリットがあります。陽性になった場合の帝王切開は、患者さんのメリットに対するものではないということが、産婦人科学会他が出しているガイドラインに書かれています。
術式変更が、医療機関側の医療資源や感染対策上の都合によるものであることは、コロナウイルスの感染状況などにより、ある程度しかたがないことです。しかし、無症状なのにも関わらず「検査料の補助があるから」という理由で、検査を気楽に受けることに対しては、慎重に考えねばなりません。

これらのことから、妊婦さんが検査を受ける場合は、事前にデメリットを周知徹底させ、理解したうえで受けていただきたいとの思いから、妊婦への分娩前PCR検査について質疑をいたしました。

以下のリンクから録画をご覧になれます。(29分~42分あたりです)
大阪市会録画配信(2020.9.18)

妊婦におけるPCR検査について

<全文>

Q1(海老沢由紀)
新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業として、妊婦の方々に対して分娩前にPCR検査助成を実施するということですが、どのような事業なのかお聞かせください。

A1(吉田こども青少年局管理課長)
新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で、妊産婦は日常生活等が制限され、自らの健康のみならず胎児・新生児への影響や出産後のことも懸念するなど、妊婦特有の強い不安を抱えて生活を送っています。
このようなことから、この事業は、国の令和2年度第2次補正予算の成立をうけ、不安を抱える妊婦がかかりつけ産婦人科医と相談し、本人が希望する場合に、分娩前にPCR検査等のウイルス検査をうけるための費用について1回のみ2万円までを助成する事業となっております。
なお、検査を実施するにあたっては、かかりつけ産婦人科医が妊婦へ陽性となった場合の対応など事前説明を行うこととなっております。
この事業は、妊婦の不安解消のため、本人が希望する場合において実施するものですので、発熱等の感染を疑う症状がない妊婦が対象となっております。そのため、症状があるなどで新型コロナウイルスへの感染が疑われる妊婦については、感染症法に基づく行政検査をうけていただくことになりますので、この事業の対象とはなりません。

Q2
この事業の対象は、発熱等の症状がない分娩前の妊婦ということですが、検査の結果、陽性となった場合はどのような対応になるのでしょうか。

A2
この事業を活用した妊婦が陽性となった場合には、妊婦に限らず行政検査で陽性となられた方と同様に、症状の有無に関わらず、医師の判断により、入院や宿泊療養の適用になるなど生活が制限されることになります。
また、陽性でも出産が可能な医療機関に変更になったり、分娩方法が帝王切開になる可能性があり、感染拡大防止の観点から入院中の面会や分娩時の立ち合いが制限され、分娩後の一定期間においてはお母さんと赤ちゃんが別室となり、赤ちゃんに触れたり、授乳することができない母子分離となることもあります。母子分離になると、お母さんが自責の念にかられたり、メンタルヘルスの問題、母子関係障がいのリスクも懸念されます。
新型コロナウイルスの入院治療後や宿泊療養後に助産師等の専門職が定期的な訪問や電話などにより、不安や孤立感の解消、育児技術の提供などの支援を実施することもこの事業の一環となっています。
この事業は、大阪府内統一の事業として、令和2年7月27日から実施しており、PCR検査については原則かかりつけ産婦人科医で行うこととしています。また、準備が整った医療機関から順次開始としておりますが、実施する場合には事業に関する情報提供のため事前に申し出をお願いしています。9月14日時点で大阪府に申し出があった医療機関数は、65か所であるとお聞きしています。
実際に陽性となった妊婦がいた場合、検査を実施した医療機関が感染症法に基づき、直ちに最寄りの保健所に「新型コロナウイルス感染症発生届」を提出することになります。

Q3
PCR検査で陽性となった場合、分娩方法が帝王切開に変更になる可能性があるということです。これに関してですが、9/2日に、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会が合同で出している「新型コロナウイルス感染症への対応(第5版)」が出されています。少し引用させていただきますが、「現時点で新型コロナウイルス感染のみで帝王切開の適応にすべきとする根拠はありません。しかし、施設の感染対策に割くことができる医療資源、肺炎など妊婦さんの全身状態に鑑みて、分娩管理時間の短縮を目的とした帝王切開を考慮してください」と書いてあります。
つまり、これによると、コロナウイルス感染のみで帝王切開を術式として選択することは、妊婦さんのメリットに基づいて選択される術式ではなく、院内感染防止対策のため、医療機関側の都合で選ばれる術式であることがわかります。帝王切開になると、次の出産も自然分娩は難しくなるなど、妊婦さんにとってはデメリットになります。ですから、PCR検査で陽性になった場合のデメリットを妊婦自身が「知る」ということがとても重要になります。デメリットを正しく認識した上で、それでも不安が上回る妊婦さんだけが希望して受ける検査であることを周知徹底していただきたいと考えています。
医療機関側にとっては、正しい診断をもとに、患者さんに対して、より適切な対応をとりたいと考えることは普通のことであり、PCR検査を受けてもらうことは望ましかもしれません。検査費用の助成が受けられることで、病院としても検査をすすめる動機が強くなる可能性があります。特に不安を感じていない妊婦さんに検査をすすめたり、受けたほうが良いと誤解を与えるなど、受けるように誘導する医師も一部いるかもしれません。
デメリットを知らずに検査を希望することにならないように行政側として出来ることは案内プリントにしっかりデメリットを明記することではないでしょうか。検査の案内チラシを拝見したが、陽性になった場合のデメリットは一番下に小さく記載されているだけで、わかりづらいと思います。検査を受けることによるデメリットの項目を作り、箇条書きにしてまとめた方がよりわかりやすいはずです。帝王切開になる可能性や、母子分離になること、母乳をあげられないこと等を、目立つところに明記するよう修正できないでしょうか。

A3
現在、使用している周知用リーフレットは、国が示しているものに準じて、大阪府が府内統一して作成したものを使用しています。事業開始時に府内の出生数を参考に配付していることもあり、今すぐには増刷は予定していないとお聞きしており、現時点で委員ご指摘の修正をしたうえでの再印刷については困難と考えています。
委員がおっしゃるとおり、希望する妊婦にPCR検査に関して留意すべき点について事前に丁寧に説明をすることが重要であるため、国においても検査を実施する際には検査説明書で説明したうえで検査申込書を記入していただくことになっています。
検査説明書と検査申込書には、検査で陽性となった場合の留意事項について明記しており、大阪府が府内統一して作成したものを、検査を実施するかかりつけ産婦人科医において、必ず活用していただくようにしています。
検査申込書は、説明を受け、了解した旨のチェックを留意事項毎に妊婦自身が記入し、そのうえで検査を希望するサインをすることになっております。また、説明者である医師名と医療機関名欄があり、記入のうえ医療機関において保管していただいています。
さらに、大阪府では府内の医療機関を対象に事業の実施に際して説明会を開催し、この事業の重要なポイントとしての留意事項があることから妊婦への事前説明を丁寧に行っていただくよう依頼しているとともに大阪産婦人科医会が作成した留意事項の説明動画を待合室で再生したり、妊婦への個別説明に利用していただくようお願しています。

Q4
妊婦にPCR検査についてのデメリットをかかりつけ産婦人科医が丁寧に説明をしていただくことは重要なことですが、事前にデメリットの正しい知識を持った上で説明を聞くのと、知識を持たない状態で、心配だから、検査料の補助もあるから受けてみたいと、前のめりの状態で説明を受けるのでは、妊婦さんの判断に違いがでると思う。医師と患者では医療知識に圧倒的な差があります。患者側があらかじめ知っておくことがより重要になります。
 今後、周知用リーフレットを増刷される際には、リーフレットの内容をご検討いただくことについてはいかがでしょうか。

A4
先ほどお答えさせていただいたとおり、大阪府域全体で統一した周知用リーフレットとしており、大阪府が府内分を一括して作成をしております。
現時点では増刷の予定はございませんが、今後、増刷する必要が生じた場合には、市民にとってより理解が得られるよう、大阪府をはじめ関係自治体に調整してまいりたいと考えております。

(意見・要望)
ありがとうございます。

また、PCR検査については、偽陽性、偽陰性の問題があります。実際には感染していないのに陽性と判定されるケースがあることが指摘されています。
妊婦さんの場合は、陽性判定がされると、帝王切開になったり、母乳をあげられない、ということになってしまう可能性もありますから、症状がある場合はもちろん仕方がないのですが、無症状なのにも関わらず「不安だから」と検査を受けることは慎重に考えねばなりません。

感染の確率が低ければ低いほど、偽陽性が出る確率は高くなります。あまり感染の可能性が高くない人や集団を検査していくと、偽陽性が大量に発生します。今回の妊婦さんのPCR検査対象がそもそも「無症状」ということですから、もともと感染している可能性は高くないわけです。
「陰性なのに陽性」と出てしまう確率が1%、つまりPCR検査の特異度が99%だと仮定した場合、感染者の確率が0.1%の場合には、実際の患者数の約10倍の偽陽性が出てしまいます。1000人調べると、実際の陽性は1人なのに偽陽性が10人ということです。

大阪市内では毎年約2万人の方が出産をします。もし、全員がPCR検査を受けると、検査の精度と感染確率に左右されますが、偽陽性の可能性はどうしても残ります。けっして妊婦さんが不利益にならないよう、行政側として、しっかりこの検査について正しい理解の周知徹底をお願いします。
また、妊婦さんの場合は自宅療養も難しいですから、入院になるケースが多いと思います。その場合、病床が確保できるのか。医療資源の問題も出てきます。
この事業を継続していくにあたって、健康局ともしっかり連携して、全体を考えて慎重にすすめて頂くようお願いします。

参考資料:母子保健医療対策総合支援事業における令和2年度第二次補正予算に係るQ&A等について(厚生労働省子ども家庭局母子保健課 2020/6/18)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応(日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本産婦人科感染症学会 2020/9/2)

妊婦PCR検査における説明書等

妊婦分娩前PCR検査チラシ

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