大阪市で可決された小学校統廃合の基準やルールを定める条例(学校活性化条例の一部を改正する条例案)については、子どもを中心に考えた判断で「間違っていなかったもの」と確信をしています。
生野区西部地域学校再編計画について、合意形成が進まない地域も一部あり、いったん立ち止まるべきとの声もあります。
先日の教育子ども委員会で「生野区西部地域学校再編計画(陳情第36号)」について質問致しました。生野区長にお越しいただき、今後のまちづくりの考えについても聞かせて頂きました。
以下のリンクから録画をご覧になれます。(8分~20分あたりです)
大阪市会録画配信(2020.3.18)
<全文>
Q1
学校配置の適正化について、とりわけ生野区西部の学校再編計画についての陳情が市会の都度、提出され、本委員会でも繰り返し審査・質疑がなされてきました。
そもそも児童の教育環境として学年で1クラスしかない小規模な状態は、子どもたちに目が行き届きやすいといったメリットはあるものの、教育活動の幅が狭くなるといったことや、人間関係が固定化するといった教育環境面のデメリットがあります。さらに、子どもたちが多様な人間関係を構築して自身の考えを広げ深めることをめざす新たな「学習指導要領」の観点や、若年化が進む教員組織の育成において、バランスを考慮した「教職員配置」を行うという観点からみても、課題を有しています。
今後、さらに子どもの数が減少していくことを考えると、学校の再編整備は避けては通れない課題であり、先般、学校配置の適正化の「基準やルール」を条例で定めるといった提案がなされ、学校活性化条例の一部を改正する条例案を議決したところです。
昨年来、教育委員会として議論がなされ、1月15日の総合教育会議において市長の了承を得たうえで、条例提案並びに生野区西部地域の方針が確定したとのことですが、陳情には総合教育会議の資料が「恣意的に改ざん」されたと書かれています。
改正条例を審査した2月17日の本委員会でも議論があったと思いますが、言った、言わないの議論ではなく、子どもの教育環境として「どうあるべきか」ということが大事なのではないかと考えます。
そこで確認しておきたいのですが、総合教育会議の資料で「恣意的に改ざん」されたと言われる部分について、陳情では「事実確認のうえ文書の訂正」を求めていますが、この部分が方針決定に大きな影響を「及ぼしたのかどうか」聞かせ下さい。
A1(答弁者:大川学校適正配置担当課長)
生野区西部地域の学校再編の取り組みについてはこの間、繰り返し陳情が出され、都度、当委員会で議論いただいてきたところであり、また、昨年12月5日の当委員会において、「学校の再編整備はこどもの教育環境の改善を第一に検討を進めるよう。学校設置協議会での話し合いは、全ての地域保護者の参加のもと進むよう。」との陳情書が採択されたところである。
これらの経過を踏まえ、生野区西部地域の児童数・学級数の状況や、これまでの生野区の取り組み経過を資料に取り纏め、執行機関である教育委員会として議論いただいたものである。教育委員からは、地域の学校に対する思いや不安を受け止めたうえで対応策を提示し理解を得るという、地域の合意が前提ということでこれまで取り組んできたことは評価するが、子どもたちが成長し、進級・卒業していくなかで、今の状況が続くことは良いことではなく、子どもの教育環境の改善といった観点を第一に考え、教育委員会として主体的に責任をもって解決を図ることが必要との意見が出され、学校配置の適正化の今後の取り組みについて、公平かつ持続的に運用していくため、統一的なルールを定め、条例等で規定化することについての方針が確認された。
また、今後のさらなる少子化が見込まれる中、学校再編の必要性と、その進め方を学校に関係するすべての方で共有できるよう、基本方針を条例で定める必要性について、先日の総合教育会議において、教育委員会の考え方について市長と協議のうえ方針を確認いただいたところである。委員ご指摘のとおり、教育委員会並びに総合教育会議においては子どもの教育環境の改善といった観点を第一に議論いただき、総合的に判断いただいたものである。
Q2
子どもの教育環境として「どうあるべきなのか」、教育環境の改善といった観点で総合的に判断されたと理解致しました。
私は生野区で生まれ育ちました。同級生、先輩後輩が、生野区で結婚し子育てをしている友人がたくさん住んでいます。ですから生野区の学校の現状については、特に子育て世代の方々から、切実な声を聞いていましたので、今回の条例化や、学校再編の方針決定については、「本当に良かった」と歓迎する声を多くいただいています。
私は維新の所属ですから、ポジショントークで都合の良い意見だけを集めているのではないか?そう思われるかもしれませんが、政治的には様々なバックボーンを持つ同級生15人、先輩後輩合わせて10人くらいから、実際に話を聞きました。「学校再編だけは全面的に賛成する」とほとんどが学校再編は進めるべきとの考えを持っていました。確かに地域から学校がなくなってしまうことに対する不安もあると思いますが、10年以上も前から統廃合の噂がささやかれ、大人の都合で誰も判断することなく年月だけが過ぎてしまったと感じています。その間に、残念ながら、「学級数の少ない小学校に入学させたくない」という理由で、生野区から周辺区へ引っ越しをした友人家族を何人も見てきました。
今回の条例化について、子どもを中心に考えた今回の判断は「間違っていなかったもの」と確信をしています。
そこで、生野区長にお伺いしたいのですが、地域活動の担い手不足と言われるなか、これまでの地域活動を支えていただき、今も中心となって活動を担って下さっている地域の役員の方々の思いもいろいろある中で、地元の合意形成に向け、区長はじめ関係者の方々も奮闘されてきたことと思います。これまでを振り返って、ご苦労されたこともたくさんあったかとお察しします。条例施行前ということで、区長の思いや、今後、どの様に取り組んでいこうと考えておられるかなど、何でも結構ですので、区長の考えをお聞かせ頂ければとおもいます。
A2(答弁者:山口生野区長)
平成25年度以降、生野区西部地域の学校再編についての話し合いを始め、平成28年に計画を策定・公表のうえ具体の議論を続けてきたところであり、私が就任してからも3年経過するところである。これまで保護者や地域の方からの理解が得られるよう取り組んできたところであるが、現時点で合意を得ることが出来ていない地域があるのも事実である。
学校再編については賛成、反対など、いろいろな意見があることは十分理解しているが、今般、教育委員会で議論いただき、(先程担当課長から答弁したとおり)子どもの教育環境を第一に考える必要があるとの結論のもと、学校適正配置の基準と進め方の条例化と、生野区西部地域の学校再編についての方針が示されたところである。
区担当教育次長でもあり、区長でもある私としては、子どもの教育環境を改善することはもちろん、区内のまちづくりに関する様々な課題や区民の声に対して対応する責任があると考えている。一方で長年、教育格差の問題に取り組む中で、生野のこどもたちの可能性を広げたいと強く思っている。再編して複数クラスとなり、小中一貫でこどもを育てることで、家庭環境で固定化しがちな格差を乗り越え、キャリア教育や地域との連携の中で可能性を広げ、変化の激しい時代を生き抜く力を育てたい。その目的からも、区担当教育次長としてまずは、子どもの教育環境の改善、学校再編についての判断がなされたことを受け、再編計画並びに条例等の進め方に則り進めていく必要があると考えている。
また、地域から学校がなくなることにより「まちが寂れる」といった意見もいただいており、区長として受け止めている。この3年間も、空き家対策やシティプロモーションなどに取り組んできたが、今後は一層、長年地域を支えてきてくださった方のご意見にも耳を傾けながら、生野区が子育て世代に選ばれるまち、魅力あるまちとなるよう尽力してまいりたい。
(見解表明)ありがとうございます。
現時点で合意が得られていない地域もあるとのことですが、いま反対というお気持ちを持たれている方は、街を愛しているからこそ出てくる感情だと思うんです。「街を良くしたい」という目的は同じ方向を向いていると思います。
区長から、「子育て世代に選ばれるまち、魅力あるまち」にしていきたいと答弁頂きましたが、これから一緒に学校再編やまちづくりを進めていく中で、きっと力になって下さるのではないかと思います。
私は先般の本会議において、この条例改正についての賛成討論を行いました。「生野区役所の対応に理解が得られていないことをもって、学校再編を一旦立ち止まるべきとの議論がありますが、子どもたちは日々成長しており、教育環境の改善の歩みを止めること、これは決してあってはいけない。先送りした責任は誰もとれないし、決断するという責任を果たしていくべきである」と、、、、考えを述べさせていただきました。
地域の方々との間に誤解が生じないよう、丁寧に対応することはもちろん必要ですが、誰のために、何のためにやろうとしているのかを、共有するため、「条例化されたもの」でありますので、学校再編の取り組みについては自信をもって進めて頂きたいと思います。