活動報告

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アゴラ言論アリーナ「保育所不足、解消できるのか?ママと子供を救う徹底討論」全文文字起こし

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6月10日12時から生放送されました、アゴラ言論アリーナ「保育所不足、解消できるのか?ママと子供を救う徹底討論」の全文文字起こしです。

番組説明はこちらです。

動画はこちらです。

司会:石川和男(政策家・社会保障経済研究所代表)
パネリスト:海老澤由紀(日本維新の会)、永井玲子(Caihome社長)

石川:こんにちは。昼間の12時になりました。皆さん、いかがおすごしでしょうか? 言論アリーナであります。今日は、久々の昼の放送ということで、皆さん、今ちょうど昼休みにかかったのかな、ということで、お気軽にお聞きいただければと思います。
これは政治・政策の番組ですので、いろんなことをしゃべりたいのですが、今日は、待機児童、保育、子育て問題ということで、それを中心にまさにその道の有識者というか、これについて意見があるわよという方にお越しいただきまして、議論をしてまいりたいと思いますので、1時間、どうぞお付き合いください。よろしくお願いします。この番組は、情報セキュリティ製品などを開発しております、ソリトンシステムズさんのスタジオをお借りして放送をしております。
それでは、早速ゲストを紹介したいと思います。まず画面左側、海老澤由紀さんにお越しいただきました。自己紹介をお願いします。

海老澤:海老澤由紀です。よろしくお願いいたします。私は4人の子どもを育てながら働く1人の女性として、この東京で、子育てのしやすい、育児もしやすい、そんな東京をつくっていこうとしまして、今回、6月の東京都議選の公認予定候補として今活動をしております。よろしくお願いいたします。

石川:はい。よろしくお願いします。それでは、お隣の永井さん、自己紹介をお願いします。

永井:こんにちは。株式会社Caihomeの永井と申します。よろしくお願いします。私は、女性支援をテーマに起業をしておりまして、そこで介護事業と保育事業を合わせて融合した施設というものを展開していくというところで保育に関わっています。本日はよろしくお願いします。

石川:はい。よろしくお願いいたします。皆さん、選挙前というと、どの政党がどういう公約を出すとか、あるいは今、安倍政権ですが、与党ですね。これは、いろんな政策を出すということなのですが、安倍政権になってから、私は1つ今まで違うな、と思ったのが、社会保障というと、だいたい年金とか、介護、医療という高齢者向けの政策にシフトしがちだったのですが、安倍さんは、待機児童、保育問題という子育てのほうにすごく力を入れて政策を進めようとしているのですが、海老澤さん、都議選のほうにお出になる予定ということなのですが。

海老澤:あくまで予定ということで。

石川:しかし、予定と言うことは、政治家だと言うことで、いろんな思いがあって政治に出られると思うのですが、この安倍さんのというか、自民党のかな。今までにない保育とか子育てに焦点を当てた、というのは、まずどう評価されていますか?

海老澤:方向性としては評価します。ようやく、やっと現役世代、子育て世代に対する政策が進んでいくのかな、というところでは評価はできます。しかし、的外れなところもたくさんあるなというのが感想です。

石川:そうなのです。だいたい政策は、待機児童、子育て、少子化対策とか言うと、ぶわっと来るのですが、当たっている部分というか、これはいいな、と思う部分もたくさんあるのですが、少し議論のために話題をいろいろ振ってみたいと思います。最初に安倍総理がおっしゃったのは、待機児童を解消しましょう、ということの前に、育児休暇3年というふうに言ったのですが、これについて評価をお2人に順番にお聞きしたいのですが、まず海老澤さん4人のお子さんを育てながら、今、こういう活動をされているのですが、育休3年はどう思われますか?

海老澤:私は、3年という期間だけ延ばすことはまったく意味がないと思います。もともと、派遣社員とか自営業の方、フリーランスの方、もともと育児休暇なんて取れない方々がたくさんいる中で、期間だけ延長しても、要は周りの制度とかルールを変えないまま期間を延長してもまったく意味がないですし、結局それは女性の労働力を活用することにはならない。企業は、女性を雇いづらくなります。

石川:これは3年間、取れということではなくて、最長3年ぐらいの育休を与えたら、その企業に、あるいは個人に、何か公的な支援をするとかいうことになると思うのですが。

海老澤:強制するということですか?

石川:強制ではなくて、自分は休みたいと。自分は休みたいのだけれども、1カ月、2カ月ではなくて、一番長くて3年間までは、国としては認めて休んでも、企業の負担とか、個人の負担にならないように、何か支援しましょうという選択制のものだとは思うのですが、実際に女性の立場だと思うのですが、長ければ長いほど、私なんか男だからかもしれませんが、育児をする、子どもと接するということからすると、働かなければいけないというのは分かるのですが、育児休暇も長ければ長いほどいいかな、と一瞬思ったりしたのですが、やはり駄目なのでしょうか?

海老澤:長いのは、私は否定していません。もちろん、1年より3年のほうがいいと思います。ただ、もっと柔軟性を持った育児休暇というのが必要だと思います。例えば3年だったら3年の中で、まず1年休む、小学校入学前にまた1年休むとか、取れる期間というものを長くして。

石川:ああ、そういうこと。

海老澤:だって小学校入学前は、お母さん、忙しいのです。

石川:確かに。お父さんも忙しいです。

海老澤:もう卒業式だの入学式だの入学準備だのとすごく忙しいのです。そういうところで、育児休暇を使ったりとか。スウェーデンなんかでは、もともと1年4カ月の育児休暇を、本当に柔軟性を持って、皆さん長い期間、8年間くらいかけて取ってらっしゃるのです。そういう政策も、日本では必要ではないかな、と思います。

石川:それは面白いね。3年というのは連続3年ではなくて、合計の3年というのは。それは面白い発想ですね。

海老澤:そうなのです。そもそも連続で取る必要性があるのかな、と思うのです。そうすると、逆に、今3年まるまる取ってしまうと、職場に戻りづらいとか、浦島太郎になってしまうとかいうことがあると思うのですが、そういった形にすると、なんとか会社に行きながら、育児休暇を消化できるので、その問題も解決ができるのではないかと私は思います。

石川:だから、それは育児休暇という言葉だけ捉えると、連続と思ってしまうけど、まったく駄目というのではなくて、そういう柔軟性を持てという。でも、そういう話というのは出ていますか? メディアで、報道で見る限り、そういう、今、海老澤さんがおっしゃったような、3年と言っても、その3年じゃないと。例えば細切れにして、というのは出てないよね? 連続だよね?

海老澤:そうですね。あまり聞かないですね。

永井:たぶん、抱っこし放題3年というようなキャッチフレーズが、確かついていたと思います。連続して、というイメージのほうが強いですね。

海老澤:そもそも、今の日本は男性の育児休暇の取得率が2.6、2.7ぐらいですよね。100人の内のお父さんで3人も取っていない状態で、3年にしたって、結局また女性でしょう? まずは、男性が取れるようなシステムを作らないと駄目だと思います。

石川:だけど、世の中は変わってきているのですが、2009年に自民党の自公政権が民主党政権に変わったじゃないですか。政権交代というのは、やはり政治は変わるのです。だから今はもう消えてしまったけれど、子ども手当とか、高校は全部無償化しよう、と少し変わりましたが、そういうふうにいろいろあったのですが、3年で駄目になってしまって、自民党、公明党、自公政権に戻ったのですね。でも自公政権の中枢というか、上の方というのかな。年配の議員さんの方の話を聞くと、この視聴者の皆さん世代、何歳ぐらいか可能であればあとでアンケートをとりたいと思いますが、やはり、若年層の発想と、今の与党の政治家の発想はまったく違う、古いと思うのです。

海老澤:おっしゃる通りだと思います。

石川:例えば、すごく60代、70代の本当閣僚の経験者で、ザ・政治家みたいな先生がたくさんいるじゃないですか。そういう方と話をすると、やはり育児とかは、そもそも親がまずやるものだと。特におっしゃるようにお母さん、母親がつきっきりでやるものだと。だから、パパが働いて、ママが専業主婦という。

海老澤:典型的な昔の昭和の時代ですよね。

石川:そうそう、昭和の時代。皆さんもっと若いと思うのですが、私は昭和40年生まれですので、まさに父が働いて、普通のサラリーマンですね。働いていて、母親はずっと家にいるというのだったのです。だから私も恥ずかしながら、ついこの間までは、といっても結婚するまでだから10年ぐらい前ですが、までは、今皆さんが反対するような側にいて、それが普通なんじゃないの? と思っていたのです。

海老澤:いや、でも本当に皆さんそうだと思います。私も石川さんと同じで、典型的に父が朝早くから遅くまで働いて、母が専業主婦で子育てをしてという、本当にそういう日本の家族で育ってきましたので、もうそういうものだとずっと思っていました。ただ、意識がそろそろ変わってくる転換点に来ているのかな、と。

石川:それはなぜ変わってきたかというと、女性が社会進出をし始めたというのもあって、かつ、女性の労働力がすごく大きな経済を生み出す。これは男ではできないという。女性の仕事は、今はもう普通でしょう? いくらでもあるじゃないですか。でも、昔はなかったですよね。だけど、今はたくさんあって、それとやはり、男だけで、労働力としてはパイが縮んでいくので、移民を入れるか、誰を使うかとなると、女性の労働力というのは、労働力としてすごくいいというふうに、実際の民間の現場では価値観が変わってきたのです。
ですが、お上、上のほうが変わっていないから、永井さんなんかも今、これから事業をやろうとして、Caihomeですよね? Caihomeだから介護と保育でしょう? それで、Caihomeなのですよね?

永井:はい。Caihomeの名前自体が、もう介護のCaiと保育のho、その家ということでCaihomeという名前なので介護と保育です。

石川:そういう新しい女性の働くことを継続させるべきだという価値観が民衆というか、選挙民のほうはあるのだけど、議員さんは、海老澤さんはこれからそういう道を行かれると思うけど、議員さんはないよ。僕は本当にそう思って。だから自民党の議員さんも、民主党にもそういう人は多いですが、やはりがっかりというか、これはなんでだろう と思ったりすると、でも議員さんと話すと、有権者が年配の方が多いと言うのだよね。

海老澤:まさしくそこなのです。はっきり言って政治家からすると、若い人はいないと同じです。だって選挙は勝たないと意味がないじゃないですか。ですから「高齢者のために頑張ります」と言ったほうが通るのです。若い世代のために保育政策とか、若い世代の雇用がどうのこうのと言ったって、皆さん、投票行かないですから。そこで、結局、もう何十年も積もりに積もった結果、今みたいな世代間格差、高齢者のために使われる税金と、若い世代のために使われる税金が、もう11:1ぐらいの差が開いてしまって。
だからやはり私たちにも責任があると思うのです。これからの自分たちが生きて行く社会のルールというものをつくって行くためにも、若い人たちに積極的に政治に参加してもらいたいな、というのはすごく思います。

石川:今、海老澤さんは11:1とおっしゃいましたけど、今、ご覧の皆さま、11:1とは何かと言うと、日本の社会保障はほとんどが高齢者向けなのです。まさに永井さんがこれから展開されようとしている保育の分野というのは、意外や意外、少なくて、金額だけで言うと1割もいかないぐらいのさみしい、寒いあれなのだ、ということを数字で見れば分かるのですが、これをしみじみ言っていたのが民主党時代の厚生労働大臣だった小宮山洋子さんなのです。
小宮山洋子さんが、1度、別の番組に出ていただいたときに、あの方は子ども手当というのは一生懸命やっていて、民主党の1丁目1番地でしたが、女性という立場では、小宮山さんはもう今引退されましたが、一生懸命やっておられて、これは自民党とまったく違うのよ、と。私はそんなこと言ったって同じじゃないかと思ったのですが、やはり民主党は政権になってから、そういう価値観は少し変わるかな、と思うきっかけにはなったと思うのですが、今、自民党政権に戻って、安倍さんは頑張ろうとしているので、評価はできるし、永井さんはこれからそういう分野で、株式会社だからビジネスですよね?

永井:そうですね。株式会社なので、本当に今、安倍さんに押していただいている株式会社参入でというような、民間の力をというところで追い風にしていきたいな、と思っているところです。

石川:私が紹介するというか、ご本人の前であれですが、Caihomeというのは、介護と保育というのは、なぜこの2つやろうとするか、という理由はあるのですか?

永井:いくつかあるのですが、現場で言うと子どもたちにとっても、また高齢者、お年寄りにとっても、異世代の交流というものが、それぞれにすごく効果を発揮するというのは、まずあるのですが、私の事業主の立場としても、女性支援というところでは、そこにヘルパーさんとして通ってくるお母さんが、またそこで子どもを預けながら、自分も働き続けるという。身近に子どもがいながら働くということも実現したいと思っていますし、先ほどから出ていた女性という立場でも、介護においても保育においても、両方がどうしても家庭の中では女性の仕事になりがちなので、そこを外ですごくいいサービスというものを提供することによって、より女性の力がまた外に出ていくというのも後押しできるかな、と思っています。

石川:永井さんのお話を、以前伺う機会があってお伺いしたときに、このCaihomeというのは、お年寄りと小さな子どもたちのふれあいだな、とまず頭に浮かんだのですが、元は2つ目の理由なのですよね。介護は離職率がものすごく高いですよね。あれは7割が女性なのですよね?

永井:そうですね。全国的には7割が女性だと言われています。

石川:そういう女性のヘルパーさんなり、職員の方が結婚をして、妊娠、出産しようとするときに、だから冒頭の話ですよ。やはり辞めざるを得ない。そうすると、介護事業所も困ってしまいますよね。

永井:そうなのです。どうしても20代に介護の職について、子育てをする、出産をしました、というのを機にやめてしまって、また手が離れたぐらいで帰ってくる、というのが。どうしても30代、40代の働き手というのが辞めてしまう、というのはすごくもったいないところです。

石川:そういう職場と子育て、職育の近接とみたいなものは、託児所というのは企業の中にもありますが、それを介護と保育でやりましょうという話なので、すごくこれからは、介護はばーっと広がるでしょう。だからニーズをね。

海老澤:すばらしいですよね。

永井:すごく。

石川:やはり現場にいて、それを喜ぶ声というか、これから開かれると思うのですが、皆さん勢いある? お客さんというか、ニーズというか。

永井:どこでこの話をしても「それっていいよね」というのはすごく言っていただけますし、現場で働いていて、実際に若い子が実は結構多いのです。うちの周りの事業所とかになりますと、だいたい20代の女性というのもたくさん働いていますので、その人たちにとって辞めないでも続けていけるという環境というのは、欲しいという声はあります。

石川:だけど、介護にしても、保育の事業所にしても、やはり行政の国なり自治体なりの許認可とか、あと補助金なんかもないと、なかなか民間だけでは難しいじゃないですか。そういうところを安倍さんはやろうとしているのですが、これから事業を始められるのですよね?

永井:はい。

石川:申請とかそういう手続きとかは、厚生労働省ではなくて、自治体のほうに行かれているわけですよね?

永井:そうですね、今は自治体ですね。

石川:それで、具体的な事業は来年ぐらいからとおっしゃっていましたよね。

永井:春ぐらいです。

石川:からやろうとしていると。そうすると、まず関東からですか?

永井:関東です。

石川:どうですか? その準備というか、今それで忙しい?

永井:結構、区のほうに出向いて、やりたいところでいろいろと保育の課のほうに行って、申請の話をするのですが、やはり今のところ法律がどうしても変わってきている狭間だというようなところが1つと、あとは前例がないというところで阻まれてしまったりというのは、ちょうど経験しているところと言いますか、それをどういうふうにクリアしていくか、というのを。

石川:そんなことを言ったら育休3年だって前例ないよね。なんだけど、役所はそうですよね。

海老澤:本当にそうですよね。なんでも前例、前例。前例がないからで、何も結局進まないのが日本ですよね。

石川:よく分かります。前例というのは言い訳なのです。前例があるというと、上の決裁が通りやすいのです。これが民間企業とのものすごく違いだと思うのですが、民間企業でも大きくなってしまうとどことは言いませんが、前例主義の会社はありますけどね。役所というのは、海老澤さんも分かるでしょう? 前例ばかりで、前例ないから駄目ですと。

海老澤:本当にそうですね。

石川:でも、物事を初めてやるときは全部、前例ないんだよね。

永井:本当はそうですよね。

石川:最初のステップというのは、まさに産みの苦しみで、それを打破してもらいたいのですが、アベノミクスはそういう点では、3本の矢の3本目ですが、冒頭、海老澤さん評価はできると言ったけれども、具体策がこれから。今、維新の会という立場で来られて、政党はちょっとこの際置いておいて、保育政策ということに話題を戻して、具体的にやっていきたいのですが、東京都議の都政のほうに目指してられるということは、東京都というと、もう1個の国みたいなものですよね。もうGDP規模から。

海老澤:そうですね。財政規模から言っても1つの国みたいですね。

石川:東京都は結構国と違う制度をたくさん持っていて、善しあしは両方あるのですが、海老澤さんが4人のお子さんがいらっしゃって、今、保育期間の方は何人?

海老澤:末っ子の1人が、今、保育園に入っています。

石川:おいくつですか?

海老澤:きのうで2歳になりました。ただ、もう1年以上前から認可保育所のほうに申し込みしているのでが、ずっと入れないままで、やっと認証保育所のほうには入れたのです。

石川:言葉を整理しておきます。認可保育所というのは、国の認可保育所でありまして、国の補助金が出ているところであります。それから、認証保育所というのは、東京都庁、東京都と自治体の独自の制度であって、ですから、認可保育所と認証保育所というのは、保育をする場ではあるのですが、支援をしてくれる主体が国か東京都の違い、というこの2つということなのですか?

海老澤:そうです。なので、もちろん認証のほうにも補助は出ているのですが、もう認可と認証と比べると、補助の額があまりにも違います。例えば、それは保育料を見ても分かるのですが、私の3男が去年まで認可保育所に通っていたのですが、保育料が約2万円だったのですが。

石川:月々?

海老澤:はい。今、入っている末っ子の認証保育所の料金は7万円です。やはり、皆さん、杉並とかいろんなところで認可保育所に入れないお母さんたちのデモが、保育園一揆が起こっています。やはりこれだけ金額が違うと、皆さん、認可、認可と言います。もちろん、面積だとか、園庭がないとか、多少認証のほうが狭いとか、そういうのはあるのですが、でもやはり保育料です。

石川:7万円はでかいですね。

海老澤:大きいですよ。

石川:3番目のお子さんが2万円でしょう?

海老澤:はい。

石川:じゃあ、3人分よりも多いわけじゃないですか。

海老澤:そうです。やはり、皆さん月8万とか10万を稼ぐために保育所に預けて、働いているお母さんが周りにたくさんいるのです。

石川:それで7万取られたら3万ですよね。

海老澤:だから皆さん、認可以外は預けられないとおっしゃいますね。

石川:私は、2人とも幼稚園だったのです。なんで幼稚園かというと、出勤の動線上にあったからというのと、うちは世田谷区なのですが、家の近くにそこしかないという理由でやったのですが、幼稚園もばかにならないです。皆さん、幼稚園、抱えている親御さんいらっしゃいます? 私は、幼稚園は私立の幼稚園だったのですが、東京都か国かどちらか忘れましたが、補助金がでるのです。補助金が月1万5,000円か、2万円か補助金が出ても、私は月々4万円弱払っていて、ですから、ないと6万円とか。

海老澤:幼稚園も高いのですね。

石川:ただその幼稚園は高いのですが、高い分だけリターンがあるのです。ものすごく立派なのです。施設とか、例えば、園内で図書館みたいなものがあるのですが、すごく充実していて、あとお遊び道具も「これはすごいわ」と言って、それなりにあって。

海老澤:付加価値があるのだったらいいですよね。

石川:付加価値はある幼稚園でしたが、7万円というのはだけど、それをずっとこれから払うのですか?

海老澤:要はずっと認可保育所待ちです。一応、申請はしていますので。ただ、本当に空いていないので、入れないです。

石川:ちなみに、ここで待機児童という4字熟語の定義に入りたいのですが、海老澤さんのお子さんは認証保育園に入っているわけでしょう。

海老澤:はい。

石川:認証保育園に入っているお子さんは、待機児童に。

海老澤:の数にはカウントされないです。そう考えると、表には出ない、水面下では本当にたくさんのお父さん、お母さんが保育所を待っているという状況になります。だからもう、どこまでニーズがあるのか、というところを正確には国は把握していないと思うのですけれども。

石川:これは、手前味噌で恐縮ですが、私は保育政策というのは前から関心があって、厚生労働省が毎年4月と10月に待機児童数というのを発表するのです。4月はだいたい2万5,000人とか、2万6,000人とか、そのぐらいのオーダーなのです。10月はちょっと増えるのです。おそらく引っ越しとかなんとかだと思うのですが、4万何千人となるのです。ですが、4月になるとまた戻って、2万5000、6,000千人とか7,000人とかになる。だいたいそのぐらいです。だけど日本は毎年100万人ぐらいの赤ちゃんが生まれて、どう考えてもリアリティがないなと思って自分なりに試算したら、360万人という数字を日経新聞なんかにも載せたらいろいろと反響があって、私の言って出た数字が正しいかどうかは別として、おっしゃったように、どのぐらい待機児童数がいるか、正確に数えてないのです。

海老澤:もちろん保育所ができると、今まで働こうと思っていなかったお母さんたちも、やっぱり働こうかな、と思う人も増えますし、どんどんどんどん増えていくと思います。

永井:潜在的なものは出てくると思います。

石川:ですから、例えば永井さんは、株式会社でやろうとしているわけでしょう?

永井:そうですね。

石川:認可保育所というのは、社会福祉法人しか取れないのですよね?

海老澤:大丈夫ですよ。株式会社でも取れますよ。

石川:取れるの? 株式会社でも取れるんだ、今は。

永井:一応、取れるという法律に2000年に改定されたのですが、実際に取れているかどうかというところは。

海老澤:ただ、今横浜のほうでは、認可保育所の4分の1が企業経営です。

永井:横浜が一番進んでいますね。

海老澤:なので今、どんどん株式会社が参入してきているので、私はもう行政だけでは絶対に解決できないので、どんどん永井さんのような株式会社の方に入ってきていただいて、どんどん増やしてほしいなと思います。

石川:ごめんなさい。私が勘違いしていたのは、世田谷区に住んでいるのです。世田谷区役所は株式会社を認めない、という方針をずっと言っていたので、それで私も早とちりしてしまったのですが、この間、新聞を見たら世田谷区もようやく。

海老澤:ようやく株式会社の参入を認める方向、ということで区長が話をされていましたが、今までずっと保育の質がどうの、ということで。

石川:そうそう。いろいろ社会福祉法人の方のお話を聞くと、それなりの理由があるのです。保育の質で、大事で今までずっとやってきて、もちろんノウハウもあるし、プライドもあるし、そういうメンツもあるし、というのもあるのですが、永井さんはこれからまさに株式会社でやろうとしていて、保育の質と言われたときに、どう答えようと思っていらっしゃいますか?

永井:そうですね。保育の質とは、まずはサービスを提供している実態での質というところが一番大きいと思うのですが、そこに対してははっきり言って、そこでサービスを提供する保育士さんの質というところと、どうしてもイコールになってくると思うのです。株式会社が展開するとなりますと、何店舗も持つことも可能になってきますので、そういう形でたくさんの店舗を持っていると、そこで雇っている保育士さんを集めての研修というのもできるようになりますし、例えば人間関係でうまくいかないというと、配置の転換ということも可能になってきますし、そういった形で大きい保育園で社会福祉法人さんが認可保育園で大きくやって、そこで1年だけですよ、というよりは、たくさん園があるということはいろんなメリットが出てくると思っています。

石川:介護もそうじゃないですか。介護の質と言って、介護はすごく株式会社が今は増えてきて、なぜ増えたかというと、たぶん株式会社を入れないとまかなえないから、という別の事情もあると思うし、株式会社で介護サービスに入ろうとしている人の意欲だとか熱意だとか、そういったものも総合的に反映されて、介護についてものすごく、まさに企業の参入が増えているのですが、保育はまだまだだというのは、でも議論を聞いていると、保育の質というのは壁ですよね。
これはどういうふうに、政治家なり、あるいはお役所の行政の担当課長さんとか、担当者の人とか、あるいは、もう社会福祉法人のまさに既存の既得権と言っては失礼ですが、そういう方々をスルーするというか、これはどうやって打破するのかな。すごく課題なのですが、誰か安倍さんみたいな人が「俺、やるぞ」みたいに言ってくれないと、実質できないんだよね。政治主導でないと、もう政治主導という言葉は廃れてしまったけれど。それは海老澤さんも政治の世界に入られて、もう決断ですよね。

海老澤:本当にそうですね。もう決断の連続だと思うのですが、例えば、今、保育の質の話になったのですが、面積とか、保育士さんの数とか、園庭があるかないか。認可は園庭が要りますよね。認証保育所は近所の公園で代用ができるのですが、それで大丈夫なのです。皆さん、よくほかのお母さん方の話を聞いていると、よく分かるのですが、どうしても園庭があるところではないと嫌だ、とか。

石川:お母さんたちのほうが?

海老澤:お母さんたちが、認証は園庭がないから嫌だとか、狭いからできたら認可保育所の大きな広いところで子ども預けたい。気持ちは分かりますよね。親として私もそうですが、もう広いところでのびのびと育ててあげたい。それは親の気持ち、ですが、実際、今、日本中で待機児童があふれていて、待機児童の8割が都市部にいる状況を考えると、住宅事情もそうじゃないですか。私たちもすごく狭いマンションに、家族6人で住んでいますが、やはり悪い住宅事情も受け入れるということが都会に住むということなので、それは保育園にも当てはまるのかな、と思うのです。

石川:今、コメントをさっきからずっと見ているのですが、やはり都市部は無理だと、もうないというのが結構そういう趣旨のコメントが多いです。

海老澤:だから本当に、もちろんコストのこともそうなのですが、もっと流動性のある保育園。小さな、小規模な保育園というのを、どんどん作っていかなければならないのではないかな、と思います。

石川:小規模というと19人以下ですよね。20人に満たない、というのが、確か国の定義だったと思うのですが、それを増やさなければいけないということは、今あまりない、ということなのでしょうね。

海老澤:あとは本当に保育ママとかで、2、3人の子どもさんを見るという、そういった政策が必要になるのかなと思うのですけどね。

石川:その面積の問題もさることながら、さっきもお2人の議論の中で出ていたのは、保育士さんの話。ほとんどは女性だと思うのです。この間も私、大阪の番組にゲストとして出たときに、大阪の専門学校か大学か忘れましたが、要するに女子大生ぐらいの年齢の方々のクラスがあるのです。保育、いわゆる昔の保母さんを目指している方の教室をずっと特集しているわけです。2年間やると言うのです、2年間。2年間も必要なのですね。

海老澤:本当に石川さんのおっしゃる通りで、例えば保育ママもせっかく制度があるのに進まないのはそこなのです。保育ママの研修時間というのが、ものすごいのです。

永井:結構ありますね。

海老澤:もうすごく不評みたいで、おそらく200時間ということを、これはごめんなさい、正確かどうか分からないのですが、とにかく研修が大変で、なかなか、結局それでも職がないので、研修を受けても仕事がないという状況になって、なかなか広まらない。

石川:でも、保育士さんは余っている。余っているというのは、資格を持った人はたくさんいて、その中で保育園に勤めている人の数というのは意外と低いと言われているのは、それはなぜなのですか?

永井:やはり労働環境というのはあると思います。結構、労働環境としては長い時間働くのに、もらえる給与としては、どうしても制度のビジネスになるので、低いというのは保育士さんの世界はありますね。

石川:給与は確かにありますね。これも厚生労働省の統計なのですが、大まかな産業ごとの平均賃金を見ると、全産業だと35万とかだいたいそのぐらいなのです。30万の半ばぐらいなのです。そして、お医者さんがやはり高くて、70万とか80万とか、詳しいことは手元にないので忘れましたが、だいたい高いと。ところがやはり保育士さんとか、介護のヘルパーさんというのは、20万前後なのです。

永井:本当にそのぐらいですね。

海老澤:民間の方たちはそうですよね。でも、認可に勤めている保育士さんは、年収800万ぐらいとかありますので。

石川:そんなにあるの?

海老澤:要は本当に保育士さんのお給料も、この認可保育園と、その他の保育園で大きく差があるのです。

石川:じゃあ統計の取り方が、統計を取り直すというか、取る箇所の問題だね。皆さん、統計というのは、役所の恣意的というか、役所が対象を決めるので、ひょっとすると全部が全部公式なのですが、正確かどうかは分からないという。パラドックス的な言い方で失礼ですが、公式では低いのですが、正確にはしかしおっしゃるように高い人もいっぱいいる。

海老澤:もちろん保育士さんは、民間の保育士さんのお給料はおっしゃったように本当に低いです。認可ね。認可。

石川:株式会社の認可保育園は低いと?

海老澤:そうですね。

石川:でも永井さんはこれから経営するわけですよね。それは、マネージメントの大きな要素だよね。

永井:やはり、求人の募集のところから変わってきますよね。

石川:やはり、何時間、時給と言うのですか? そうすると、みんな計算するじゃないですか、「あ、俺の給料は月々いくらになる」となる。それは結構重要だけれども、でも、それを民間の資金だけで回せるかというと、回せないから今まではやっていないのではないかと私は思うのです。

永井:本当にどれぐらい運営費で補助というものがつくのか、どれぐらい補助していただけるのかというのは、今、ちょうど議論をされているところだと思うのですが、結構それで株式会社がやっていけるのかどうか、というのも決まってくると思います。

石川:だから事業ですから、ある意味、保育も介護も医療だってビジネスと言えばビジネスなので、全部が全部、税金の補填というわけにはいかないのですが、ただ、社会保障の分野はやはり補助金とか、それは介護保険にせよ、医療保険にせよ、そういうところからお金を回していかないと成り立たないと思うのです。

海老澤:そこは入れていかないと駄目ですよね。ただ、やはりどこまでコストをかけるか、ということもあると思います。例えば今、保育所が足りないからと言って、例えば認可保育園をどんどん税金を使ってどんどん増やすことが果たしていいのか。もちろん待機児童は減ると思うのですが、でもその先のことも、やはり考えていかなければならないな、と考えていまして。例えば、今、歯医者多くないですか?

石川:多い。

永井:多いですね。

海老澤:どこに行っても歯医者だらけじゃないですか。

石川:私は助かっていますが。

海老澤:私の主人が歯医者なのですが、昭和40年代ごろは、朝4時ごろから患者さんがずらっと並んでいたのです。本当に4時、5時、要はオープン前に並ばないと診てもらえないというので、それぐらい歯医者が足りなかったのです。足りないからと言って、国が歯医者作っちゃえ、と言って、歯科大をどんどん建てたのです。大きな大学をぼんぼんぼんぼん。それで大量の歯医者が生まれた結果が今なのです。

石川:皆さん知っていました? これ。

海老澤:もう30年も前からこんなに歯医者が余ることは予想をしていたのです。予想をしているのに、今でも歯科大を減らせないし、歯医者を減らせないのです。ですから、本当にいったん作ってしまったものは、後戻りできない、減らせない、というのがやはりあるので。

石川:どこかのダムとか、どこかの高速道路もそうだよね。

海老澤:そうなのです。公務員は、やはり継続性というのをすごく重視するじゃないですか。作ると言ったら作る、みたいな。なので、なかなかそういうところも、やはり考えていかないといけないかなと思います。

石川:だから、例えばおっしゃっているのは、認可保育園作りましょう、作りましょう、と言って、お庭もたくさんあって、建屋があって作りました。作ったはいいけど、30年たったらどうするの? という話ですよね。

海老澤:あと、先日、衆議院議員の山田先生とおとといお電話でお話したのですが、山田先生は以前、杉並区の区長をしていまして、当時のゼロ歳児の保育園のコストどうだったのですか? なんて聞いたのです。50万かかったと言っていました。

石川:月?

海老澤:月。保育園の運営費だけで、ゼロ歳の子を1人見るのに50万かかったとおっしゃっていました。もちろん男女共同参画の視点から見ると、コストだけは言えないのですが、やはりお母さんたちは、それぐらいコストもかかっているというところをなかなか知らないと思うのです。選択肢の1つとしては、例えば、働きたくて、本当にキャリアをつみたくて、働いている女性もいるのですが、お金が厳しくて、もう旦那の給料だけではやっていけない、ということで本当に8万、10万のために働いているお母さんも事実いるわけです。もし50万かかるのであれば、10万円とか20万円とりあえず渡して、おうちでその間見てもらう、ということも1つの選択肢としてはあるのではないかと。

石川:それはつまりお母さんが見ると?

海老澤:そうですね。それももちろん、お母さんでもお父さんでもいいのです。

石川:家の人ですね、要するに。

海老澤:それも1つの選択肢としてあるのではないかと思うのです。

石川:ですから、結局、待機児童とか子育て政策というのは、保育園をどう作りましょうとか、保育士をどう確保しましょうというのも大事ではあるのですが、そればかりやっていると金がいくらあっても足りないよと。

海老澤:そうなのです。ですからやはりもう少し大きな視点で、いろんな角度でやっていかないと、解決ができないのではないかと思います。

石川:本当にこれは介護もそうだし、医療機関もそうだと思うのですが、さっき道路とダムと私、言いましたが、設備投資でやってしまうと、どうしてもそれを使わなきゃと思って使うじゃないですか。でも世の中の移り変わりで使えなくなったところは、サンクコストと言って埋没してしまう。空き家になってもったいない。ですから、今の認可保育所を作れという議論は、必ずしもそれなりの園庭で、それなりの園舎と言うのですか、あの建物。それがないと私は嫌だ、俺は嫌だ、と言うパパ、ママの気持ちは分かるけれども、それだけだとできないので、例えば小規模とかそういう保育ママとか、そういうところで、それも考えてよ、という話なの?

永井:実際に待機児童というところを減らしていこうと思うと、小規模なものというのをどんどん活用していくというのを、使う側としてもそれを使ってというところを、もう少し、認可というところだけではなくて考えて。

石川:そういう意味では厚生労働省の統計の取り方にもよるのですが、さっき言った待機児童がだいたい4月時点で2万人台というのは、認可保育所に申し込んだ人の中から、認可保育園に入れなかった人数なのですね。だから、潜在的にどのぐらいいるかというのが、おそらく何十万人、何百万人か分かりませんが、たくさんいるだろうという数字がちゃんとでないものだから、逆に切羽詰まってないと思うのです。2万7,000人ぐらいだったら、箱物を作ったらできると思っちゃうもん。逆にもっとたくさんいるよ、と出せば、海老澤さんがおっしゃるように、別の柔軟な仕組みだとかなんだとかという知恵を、もっとみんなが考えるようになるのではないか。

海老澤:今、選択肢が少なすぎます。女性が選択できる環境が必要だと思います。もう本当に認可と認証、私も要らないと思うのです。そもそも、認可というのはなんなのかと思うのです。株式会社の保育所もそうですが、どの保育所も一律にして、保育バウチャーを配って、保護者がそれぞれ選んで、保育園に行けるような、そういうこともいいのかな、と思うのですが。

石川:これから安倍さんは4月に待機児童解消加速化プランと言って、今年から5年間で40万人の待機児童の受け皿を作ると言ったのです。うまい言い方なのです。保育所を作る、とは言っていないのです。受け皿をつくると言ったので、たぶん今、海老澤さんがおっしゃったような柔軟なものも含みおいておっしゃったと思うのですが、具体的なものというのは、今、厚労省が資料をたくさん出していて見れば分かるのですが、柔軟性という意味では少し足りないなと思います。従来型の発想に拘泥してしまっている部分があって。選挙が終わって、政党の枠組みがどうなるか分かりませんが、選挙というのはそういうところで声を上げていって、少しずつ実態にあったようにしていくチャンスなのかもしれないです。だからそれで声を上げていただいて。
でも今日は、あと15分ぐらいありますが、この待機児童の話、保育園の話ですごく良かったなと思うのは、その柔軟性というのは、私、今まで全然なかったです。僕は、どちらかと言うと、高齢者向けの予算を引っペがえして、子育てに。だって11:1なのですよ。10%ないのですよ。

海老澤:こんな国ないですよね。

石川:ないよ。ゆりかごから墓場まで、と言っておきながら、墓場まで〓デ00:51:11〓。ゆりかごは、まああなたやってよということなので、僕は高齢者向けの予算というのは手厚すぎると思っているのです。あまりにもおかしいです。世界的に見てもものすごくおかしい、と言うと、なんだ、おまえ、親を大事にしないのか、と。いや、そういうわけではない、という話なのですが、それは有権者の年齢層かもしれないね。

海老澤:本当にそうです。その結果が今の世代間格差になってしまっていると思います。

石川:ですから、そういう柔軟な受け皿づくり、保育園づくりではなくて、受け皿づくりとうことで、やはりわれわれ、私たちは40代ですが、30代、20代の若いパパ、ママ、ないしはその予備軍の方々が投票に行って、政治家を支えるという世の中にしていかないと、なかなかこの子育て保育問題は若年世代、現役世代のほうに向いてこないな、というのがありますね。

海老澤:そうですね。やはり、そういった世代の方がどんどん投票所に行くと、もう政治家は無視できなくなりますからね。

石川:それはあります。あと15分なのですが、もう45分もたってしまったのですが、子育て政策とか、女性政策ということで今日はお伺いしたいと思っていまして、アベノミクスで政府が、今回子育てビジョンみたいなものをまた作って、それはそれでいいと思うのですが、一時期話題になったものの中で、女性手帳ってあったでしょう? 私、ツイッターで女性手帳おかしいよ、と書いたら、もう賛否両論囂々。「その通りだ」というのと「何を言っているんだ、てめえ」みたいなのといろいろあったのですが、女性手帳のあの発想はいいのか悪いのか。やるのであれば、私はこうだ、というのがもしあれば、順番に言ってもらいたいのですが。

海老澤:やるのだったら、もちろん男性にも配るべきです。

石川:俺はそう思う。

海老澤:でも、女性手帳も男性手帳も、要らないのではないでしょうか。ただ必要なのは、やはり女性も子どもを産もうと思ったときに、卵子の老化の問題でなかなか産めないという状況も確かにあるのです。正確な知識を教えてあげなければならない、というのが絶対にあります。ただそれが女性手帳なのか、というのはあります。

石川:永井さんどうですか? 報道を見て、まずどう思われましたか?

永井:私も結構個人で考えることではないかな、というところもありますし、さっき海老澤さんがおっしゃられたように、正確な知識を、それを持っていることによって得られるということはいいのかな、と思うのですが、本当そういったやり方じゃなくてもいいような気もしますし。そして本当に女性に限らず、男性が持つというのも1つですし、何のために? というところが。

海老澤:だって、不妊治療は女性の責任だけではないですよね。男性側にもいろいろ問題があってできないのだから、女性だけに子どもを作るためのそういう、そうですよね? 女性手帳って。そういうのがたくさん書いていますよね?

石川:妊娠する前からのいろいろという。

海老澤:妊娠する前からのいろいろ書いていますよね。渡すのだったら、もちろん男性も含めて同じにしていかないと意味がないと思います。

石川:今、不妊治療の話をしましたが、不妊というのは私はほとんどが男の原因だと思う。今、コメントにあったのですが、忙しくて子づくりできない。忙しくてできないというより、忙しくてストレスがたまっているのではないかと思うのです。それで弱くなっているのではないかと。何でこんなことを私が自慢げに言うのかというと、恥ずかしながら言うと、私の周りを見ると、そんな感じ。みんな男の問題のような。全員とは言いませんよ。僕は医者じゃないから分からないですが。

海老澤:私は石川さんのおっしゃる通りだと思う。結局、育児休暇もそうですが、男性も長時間労働を強いられて、ストレスがたまって、うつ病になって、子どももなかなかできないという、そういう本当に悪循環になっている気がします。

石川:不妊治療は、女性はすごく痛い思いをするのですよね。当人かい、おまえは、という感じなのですが、実際そうなのですよね。すごく女性に責任を押しつけている、男の責任逃れ、みたいに思ってしまう。こういうふうに僕が思っているのは子どもが生まれたからかもしれませんが、でも、そういう点からしても、女性手帳というのは、さっきコメントで金の無駄だからやめてしまえ、というのが多かったのですが、確かそれはそうなのですが、あえてもし若年世代にやるとしたら、それはむしろ、その趣旨は若い男性ではなくて、若い人を使う、上の人たちに言わせたほうがいいかもしれない。
あなたたちが子ども、孫が欲しいのだったら、孫の顔が見たいのだったら、子どものこと少し解放してやれ、ぐらい。お金の問題もそうですよね。もっと相続税をどうのこうのする、とかなんとかいうところからして、すごく子育て終わった人たち、私の親たちの世代が、何で子どもできないの? とか、なんで母親を見ないの? とか、言われてしまうと、そんなこと言われてもあなたたちがつくってきた国だろ、みたいに思ったりするのだけれど、半分ぐらいは言っていることは正しい面もあるという。

永井:私はでも、環境の整備のほうから、またそういった空気をつくっていく、というのでいいような気がします。

石川:でも、女性目線でどうしたらいいのでしょう? 少子化が駄目だと、子どもを増やさなければいけない、という価値観に立ったときに、どうすれば本当に若いカップル、若くなくていいのですが、子どもがつくれるというか、育てられる環境に、何がキーポイントなのでしょうか? 財政移転というのもありますが、社会が変わるというのはよくみんな言うのですが、社会がどう変わる、誰がどう変わるのかということになると、誰がどう変わるべきなのだろう。

海老澤:もう本当におそらく、たくさんのさまざまな要因があると思うのですが、私は、子育ての時期、本当に手がかかる時期は、小学校入学までだと思うのです。ここを徹底的に支える。社会で徹底的に支える。そうすると、そこを支えてもらうと、お母さんたち仕事続けられるでしょう? 仕事続けられる、将来もずっと仕事があるという見通しが立つ。するとちょうど、その時期は家を買う時期と重なるじゃないですか。子どもが生まれて、そして家も買うことができて、経済的にもどんどんいい回り方をすると思うのです。やはり、まずは0歳から5歳の間を、とにかく支えるというのが必要じゃないかな、と思います。

石川:そのためには、よく例えば企業の経営者がマインドを変えなければいけない。その通りなのですが、でも経団連のお父さんたちの顔を見ていると、どう考えても変わらないわね。

永井:ただ、この間、トヨタさんも出していましたが。

石川:トヨタさんって、トヨタ自動車?

永井:トヨタ自動車。短時間労働とか、女性の夜勤をなくすとかというようなところを取り組むという。

石川:出していましたね。あそこはすごい企業ですよね。

永井:やはり、ああいうふうに大手がガッっと振ると、結構、私たちの中小企業のほうがやりにくい、人があまりいない中で短時間労働になると、みたいなところもありますが、やはり意識を持って、その辺り、私なんかは女性をたくさん雇っていきたいと思っていますので、さまざまな働き方が可能な選択ができるというのは、経営者としては出していきたいな、と思っています。

石川:それと、さっき私は若年層の20代の出産、若ければ若いほどいいとよく言うと、それは分かりませんが、だけど自分たちの祖父母の世代というのは、40代で結構出産していたのですよね。また手前味噌で恐縮ですが、私の母も父も、祖父母は40代の半ばなのです。兄弟が多いから、下のほうだから。

海老澤:生みはじめは皆さん早いですよね。

石川:生みはじめはもうずっとあれなのですが、必ずしも40代じゃ駄目だ、ということにはならない。と言うと、この間、あるところで議論していたら、いや、それは初産ではないから、と言われました。もう私も詰め倒されてしまいました。いろいろあるのでしょうが、でも、この間朝日新聞かな? 見ていたら、同じような記事があったのです。昔は、本当に40代出産は全然高齢出産というのではなく、いや、それはありましたよと。50代も結構いたのです、という記事があって、あ、そうなのか、と思って読んでいたのですが、必ずしもそれが悪いわけでもないので、その辺のところの情報というか、今、医学情報というのですか。それはなかなかわれわれ仕入れられないですよね。どれが一番あれなのか、という。ただやはり20代とか30代で出産をしたいという女性が多いということなのでしょうか、気持ちの上では。

海老澤:あとは現実的に、本当におっしゃる通り、早ければ早いほどいいです。早ければ早いほど、第2子、第3子の可能性が出てきますから、早ければ早いほうがいいと思います。

石川:でもやはり世代別の平均賃金なんかを見ると、私が就職したのはバブルのころだったので、比較になりません。89年なのです。バブルの真最中。平成元年に社会に出たもので、全然比較にならないのですが、今は20代の若者というのでしょうか。給料低いよね。

海老澤:そうなのです。

石川:低いというのは絶対額が、僕らが入ったときの公務員の初任給ぐらいなのです。

海老澤:本当に結婚して、子どもを持つという普通のことが、もうできない額ですよね。

永井:もう共働きじゃないと成り立たない、みたいになってしまっていますね。

石川:仮に2人で、共働きで、結婚して、妊娠・出産できたとしても、さっき言ったように東京に住んでいると認証保育所だと7万円ですよね。

海老澤:そうですね。

石川:それ補助金付き?

海老澤:補助金は、1万5,000円ぐらいは出ると思うのですけれども。

石川:でも、7万円、実質はしていますと。

海老澤:それでも5万5,000円ぐらいの負担はあるので。

石川:でも、小学校前、2人お子さんがいたら、すごいよね。10万ぐらいでしょう? この間、文科省かな? 下村文部大臣がテレビで発表していたのですが、自民党が幼児教育無償みたいな、第3子から無償と書いてあったので、ちょっと待ておまえ、と。第1子が生めないじゃないか、みたいな。そうしたら低所得者向けには第1子は無償みたいな文言が入ったので、これはこれでバランス取ったのかな、と思うのですが、しょせん日本の今の政権は、しょせんと言っては何ですが、やはり、そういう認識なのですね。第3子に無償ってそれはないよね。そこまでたどり着かんやろ。

海老澤:そうですよね。あれですか? 幼稚園だけ無料というのは本当なのですかね。

石川:それがまた差別だな、と思うのです。幼稚園に行っていた人間からすると、幼稚園というのは大変ありがたいのではあるのですが、午後2時に終わってしまうのです。2時から夜までどうしてくれるの? というお母さん、お父さんも結構いたのです。今もたぶん、そうだと思うのですが、あれは縦割りですね。なんとなく私はそう思います。だから、選挙前にあげていることなので少し高ぶった部分はあるのですが、選挙が終わって、7月21日に参議院選終わるので、それで秋の臨時国会がおそらく9月の終わりが10月ということになって、補正予算ということになると思うのです。そのときに具体化していくと思うのですが、その中でこれは声を上げていかないと、あのまま政府案通りにいってしまうと、「カク」みたいな。

海老澤:もし本当に幼稚園だけだったらおかしいです。実際、本当に経済的に困って働いている層は、保育園が多いじゃないですか。保育園も含めて考えないと、幼稚園だけというのは本当に納得できないです。

石川:幼稚園はもともと昔の文部省、今、文部科学省。教育なのですよね。要するに、プレスクール。小学校の入学前という発想で、保育園は社会福祉というか、措置時代にあった、教育ではないのですよね。かわいそうな人に施しをしてあげましょうというのりでずっと続いてしまったものですから、昔、幼保一体化と言ったじゃないですか。無理ですよね。

海老澤:もう、あの縦割りでは絶対に。

石川:縦割りだと無理。

海老澤:絶対に一体化できないですものね。

石川:今、内閣府のほうで、だから、私は、これは民主党政権の1つの大きな功績だと思うのですが、そこで子ども子育て会議というのが、一応、縦割りを解消しようとして出て、始まろうとしているので、ほんの少しは期待しているのですが、それでも後ろには文科省と厚労省がそれぞれ自分たちの思いがあってやっているので、政治で打破しないと、そう簡単に難しいし、政権が弱いと官僚は超えられないような気がするのです。こういう言い方をすると政治家の方に失礼ですが、なかなか役人は、やはり強いですからね。

海老澤:でも、本当に優秀な方がたくさんいらっしゃるのでね。

石川:優秀というか、そればかりやっていたら、それはその道のプロにはなりますよね。でも堅いのは、僕はどうかと思うし、もう少しさっきの育児休暇3年ではないですが、柔軟性を持った政策というところに行かなければいけないということを。
実は皆さん、あと1分ぐらい? 3分、延長? そうですか。とりあえずあと1時間これで済んでしまいますので、皆さんお昼休みそろそろ終わりなのかもしれませんが、この待機児童の問題は、私はしつこく言っていかないと負けちゃうよ、これ。負けると思う。保育政策だけではなくて、いろいろあるじゃないですか。例えば介護もそうでしょう? いろんな政策、これをやれ、とか、例えば構造改革特区とか、規制緩和とかってあるじゃないですか。負けるって。法律作っただけじゃ負ける。
ですからこの番組ご覧の皆さまも、政府が何かプランを出して、それで「やった」というふうに小躍りしないでください。必ず細部というか、細かいところで巻き返されるというか、元に戻ってしまうことが多いのです。それは、われわれ一有権者は、自分が選んだ政治家、そういう人たちを頼るしかないのですが、どんどん声を上げていって訴えかけるというのが大事だと思って。そういう意味では海老澤さんもそっちの世界を目指しておられて、維新の会かどうか置いておいて。

海老澤:政党は、維新の会は、今日は置いておいて。

石川:政治信条としては、そういう子ども子育て政策に邁進していくのでしょう?

海老澤:もちろん私自身が4人の子どもを育てながら働く女性なので、もうその辺りはしっかりやっていきたいと、そう考えています。あとせっかく今、ツイッターとかフェイスブックとかたくさんあるじゃないですか。たくさん皆さんの声を生で聞けるので、どんどん一般の方に、政治家にメッセージをたくさん欲しいな、と思うのです。そして皆さんと一緒に考えていきたいな、と思います。

石川:そうですよね。せっかくこういう。

海老澤:そうなのです。本当に昔では考えられなかったようなコミュニケーションがたくさん取れるので。

石川:もうこれでできちゃうのです。

海老澤:もうどんどん、意見をたくさんあつめて、いい政策を作っていきたいな、と。

石川:永井さんも、もうちょっと時間が来ましたが、最後にどういう事業展開、展望論みたいなものがあれば、たぶん、そういうCaihomeを期待している現役層はいると思うのです。親も預けられるし、子どもも預けられるということもあるわけですから、見ている方にメッセージみたいなものがあれば。

永井:私は、小規模なものというものをベースに考えていますので、10名定員のデイサービスに、小規模な保育施設なのか、もしくは保育ママという制度を使うのか、というところが今ちょうど申請をして、いろいろと話をしているところなのですが、そういった小規模なものが地域にたくさん、本当にすぐそこにあるというような状態を作ることによって、地域と一緒に介護であるとか、子育てというものを考えてやっていきたいなと思っています。
なので、働く女性にとっても本当にそこに来て、自分の子どもを近くで見ながら仕事をしていられるという環境ですし、子どもにとってもなかなか家でおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に生活することが少なくなっていますので、そういったところを事業所に来ることによってコミュニケーションを取ると、人というものがどういうふうに大人になって、また年を取っていくのか、ということを体感できるというのも子どもが感じることによっての教育というのも大きいと思います。あとお年寄りにとっては、まず子どもというものはすごく笑顔が出る元になりますので、そういったところの異世代の交流というのも、すごく魅力的だと思っていますので、地域に根ざしたものをつくっていきたいな、と思っています。

石川:ぜひベンチャー魂で頑張っていただきたい。最後に海老澤さん、これは保育の話とは関係ないのですが、今回、国会のほうではネット選挙解禁ということで、公職選挙法が改正されて、次の参議院選、国政選挙からネット選挙が解禁ということで、都議選は解禁じゃないんだよね? 今回は。

海老澤:そうなのです。今回まだなのです。

石川:ですから、今回は、海老澤さんもそうですし、候補の方がインターネットでこういうふうに出られるというのは、何月何日までなのですか・

海老澤:6月13日までです。14日が告知ですので、前日までです。

石川:実は、裏話をしますと、この番組はそれよりあと、今月の半ばぐらいを想定していたのですが、海老澤さんに問い合わせたら、出られないということで、じゃあ、出られる日を選ぼう。

海老澤:ここにモザイクかかってしまいますから。

石川:名前もモザイクかかっちゃうの?

海老澤:もう名前も顔も全部モザイクかかっちゃいますから。

石川:それじゃあなんか、変なあれみたいだからあれですか、そういうことでネット選挙は国政のほうで解禁されるということで、都議選は残念ながら今回は駄目で、その次の回ということですが、しかしそれまではこういうものでもいろいろできると思うので、いろいろ有権者の方と会話をしていただいて、なるべくわれわれの意見をくみとっていただくような政治をしていただければと思います。
今日は昼休みの放送をどんなものかな、と思ってやってみたのですが、皆さんいかがでございましたでしょうか? 一応、時間が来ましたので、今日はこれで閉じたいと思いますが、この問題はしつこく追いかけてまいりたいと思います。お2人も、また出ていただく機会あろうかと思いますが、その際には1つまたよろしくお願いいたします。

海老澤:よろしくお願いします。

永井:よろしくお願いします。

石川:今日はお忙しい中ありがとうございました。

海老澤:ありがとうございました。

永井:ありがとうございました。

石川:皆さん、ありがとうございました。これで終わりたいと思います。

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