3、このままだとどうなる日本 ①

将来問題になるといわれていることの、ほとんどは少子高齢化が原因です。

 

1)人口の減少

日本の人口は現在世界で10番目です。
1980年代に、圧倒的な経済力を発揮したのは、この時期に高い労働力があったことが大きいでしょう。
また、生産力を支える大きな消費力となる国内市場を形成しました。
しかし、このままいくと2050年には日本の人口は世界で16位に転落します。
合計特殊出生率が現在と同じ水準で進むと仮定した場合、2005年に1億2777万人だった日本の総人口は、2045年に1億人を割り込み、2055年には8993万人になると見られています。

人口が減ると、どういうことが考えられるでしょうか。

まずは、

国力の低下

国力とは、軍事力、経済力をはじめとして、
技術力やその他の総合的な力です。

日本の外交力を支えて来たとも言える経済力の低下は、国際影響力の低下をもたらす懸念も持ち合わせます。

 

2)少子高齢化

そして、総人口の減少以上に深刻なのは、子供の数の急速な減少です。
合計特殊出生率が現状から横ばいで推移しても、現実に産まれる子供の数は2010年頃から急減し、2055年にはわずか45万人となり、過去最低だった2012年の103万人と比べても4割近くになってしまうと予想されています。
世界の中でも、ここまで少子化が深刻になっている国はありません。

一方、65歳以上の高齢者の数は、過去最高となった2012年の2975万人(高齢者率23%)から、2042年には3878万人となり、高齢者率はさらに上昇し続け40%に近づくとみられています。

なんと、将来は現役世代(20~64歳)

1.2人で、1人の高齢者を支える社会

になります。
昭和25年には1人の高齢者に対して10人の現役世代がいました。
平成22年は2.6人でした。

あなたは現在、たったひとりで、高齢者一人の面倒を完全にみることができますか?

このままだと、将来は、それを実行しないといけない社会になるのです。

 

高齢化の推移と将来推計
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グラフ11(2010年まで、国勢調査 2015年以降、日本の将来推計人口 2012年)

 

3)年金などの社会保障負担の増加

少子高齢化に伴い、社会保障給付費は急増しています。

 

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グラフ12(厚生労働省)

 

経済学者の鈴木亘の試算によると、社会保障の国民の負担率は、2011年で35.9%(消費税を含むと38.8%)ですが、2025年には39.0%(同52.1%)、2050年には51.0%(同71.3%)と、急激に負担が増える見込みです。

 

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グラフ13 社会保障費、国民負担率の予測(鈴木亘)

 

約10年後には、かせいだお金の半分が、社会保障費と消費税で消えることになるんですね。

ただ、負担割合が多いか少ないかだけでは、問題が大きいのかそうでもないのは判断出来ません。負担割合が大きくても、それなりの十分な保障になるのであれば、現役時代に負担が多少大きかったとしても、将来の不安はありませんから、消費に回る金額も増え、負担が重いという感覚も薄れます。

福祉大国と言われるスウェーデンは、負担割合は非常に大きいですが、十分な社会保障が受けられることから、将来に不安がないと国民の多くは考えており、現役世代は十分納得して負担しています。

しかし日本の場合は、急激すぎる少子高齢化のために、十分ではない保障のままで、負担割合だけがどんどん増えていきます。
制度を何も変えなければ、負担割合は将来にわたりずっと伸び続けることになります。それは不安に直結します。

社会保障に関しては、年金等の設計時に、出生率の推計が誤っていたことにより、制度が危機に瀕していることが指摘されています。

現在でも、

将来の経済成長率や金利等を甘く見積もることで、深刻さを隠そうとする

傾向があります。

元経産省官僚の宇佐美典也氏は、将来の社会保障制度について、

税と社会保障改革の前提は、地獄のカンダタに垂らされた
極楽に向かう蜘蛛の糸みたいなものです。
そしてこんな蜘蛛の糸を登り尽くすことを前提とした社会保障制度、
特に年金は、10年、20年単位で見たら絶対に維持が出来ない。

と述べています。

甘い見通しを捨てて、制度設計からの抜本的な改革が望まれます。

 

次は このままだとどうなる日本②

 

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