1、日本の少子化の現状

「少子化」とは、新旧世代の間で1対1の人口の置き換えができなくなる低い出生率が継続することです。

簡単に言うと、

移民がなければ人口が減っていく状態

を意味します。

少子化が社会問題として浮上したのは1990年です。

この前年(平成元年)の合計特殊出生率(一人の女性が生涯で何人子供を産むかの指標)が、昭和41年の丙午の年(「ひのえうま産まれの女の人は気性が強く、夫を殺すことがある」という迷信から出産が控えられた)の1.58を下回り、1.57を記録したことが発表され、「1.57ショック」という言葉が流行語になりました。

「少子」という言葉が使われたのは、1992年「平成4年版国民生活白書」(経済企画庁編)です。

そして、13年後の2005年、日本の総人口は、統計を取り始めて以来、初めて減少を記録します。
総人口が減少するのは、少子高齢化が進むことにより、予測されていたものです。
しかし問題なのは、予想よりかなり急速に少子高齢化が進行していることです。

 

1) 出生数の変化

日本の年間出生数は、第一次ベビーブーム期の昭和22年から24年頃には約270万人、第二次ベビーブームの昭和46年から49年頃には約200万人でした。
それ以降、毎年減少を続け、昭和59年には150万人を割り込みます。
平成22年の出生数は、107万1304人です。30年で半減したことになります。

 

2) 何人産むか

一人の女性が生涯で何人子供を産むかの指標である、合計特殊出生率をみると、第一次ベビーブーム期には4.3を超えていましたが、平成元年に1.57を記録し、過去最低だった丙午(ひのえうま)の年、昭和41年の1.58を下回ります。さらに平成17年には過去最低である1.26まで落ち込みました。2011年は1.39でした。

一人の女性が2.07人産むと、理論的に人口は増減が無い

と言われています。
現在、一生涯で女性は平均1.39人しか産まなくなっているのです。
総人口が減るのは当然と言えます。1.39という数値は、先進国の中で最低レベルです。

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グラフ1(人口動態統計 厚生労働省 2011年)

 

3) なぜ少子化が問題か

人口構成が変わらずに、総人口が減るだけなら、大きな問題は無いと思われますが、子供が減り続けていき、高齢者が増えるのであれば、働く人の割合が低下します。
そうすると、働く人が減ると同時に、ひとり当たりの面倒をみないといけない人の割合が多くなり、年金等の社会保障制度の負担が大きくなったり、働く人が減ることにより経済成長が鈍化するなど様々のデメリットが生まれます。

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グラフ2(人口動態統計 厚生労働省 2011年)

 

4)未婚化・非婚化の進行

結婚しない人、できない人が増えています。

2010年の国勢調査によると、25~39歳の未婚率は、男女ともに引き続き上昇しており、男性では、25~29歳で71.8%、30~34歳で47.3%、35~39歳で35.6%、女性では、25~29歳で60.3%、30~34歳で34.5%、35~39歳で23.1%となっています。

男性
3.1

女性
3.2
グラフ3 年齢別未婚率の推移(国勢調査 2010年)

 

生涯未婚の人も30年前と比べると男性は、2.6%(1980年、昭和55年)から20.14%(2010、平成22年)、女性では4.45%(1980年)から10.61%(2010年)へ上昇しています。

 

生涯未婚率の年次推移
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グラフ4(人口統計資料集 国立社会保障・人口問題研究所 2012年)

 

5) 晩婚化・晩産化の進行

結婚する場合でも、日本人の平均初婚年齢は、2010年で、男性が30.5歳、女性が28.8歳となり、上昇を続けています。
30年前の1980年(昭和55年)には、それぞれ27.8歳、25.2歳でした。

それに伴い、出産年齢も上昇し、出生したときの母親の平均年齢を見ると、2010年の場合、第1子が29.9歳、第2子が31.8歳、第3子が33.2歳であり、30年前と比べると、それぞれ3.5歳、3.1歳、2.6歳上昇しています。

 

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グラフ5(人口動態統計 厚生労働省 2011年)

 

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