4)規制緩和
少子化を受け入れた上で経済成長を続けるためには、生産性の向上以外方法は無く、そのためには技術革新が必要になるので、規制緩和もたいへん重要な課題となってきます。
欧米では基本は規制がなく、問題が起こると個別に規制という方向ですが、日本では未だに規制ありきで、まず規制して、圧力を受けて緩めるという全く逆方向のやり方です。
例えば、インターネットを利用した医療や教育など、今後期待されるものがありますが、始まる前から非公式のガイドラインなどが作成され、規制されたりしています。
日本も原則は規制無しという方向に転換するべきでしょう。
規制緩和に対しては、自省の省益など既得権を維持しようとする官僚が、かなり抵抗することが考えられますので、
公務員改革などの統治機構改革
が併せて必要になります。
政治主導の強いリーダシップが不可欠です。
5)出生率の回復
次に、出生率の回復のための対策を考えます。
日本の場合、若い年齢で結婚することが出来るようにすることが出生率の回復に有効なようです。
グラフ26、グラフ27を見ると、若い人の結婚と労働環境は、関係性がとても高いのがわかります。
若者の安定した、先の見通しが立つ経済状況に改善するための政策を行うべきでしょう。
この点でも、労働と関連しないベーシックインカムが有利と考えられます。
○育児費用のための税金控除と児童手当
育児費用の税金は全額控除すべきですが、控除手続きのためのコストが発生しますからなかなか難しいと思います。
行政コストを下げることで、財源を捻出しようとしているわけですので、それを上げる方向の要素は、極力排除しなくてはいけません。
税制をフラットタックスにした上で、負の所得税の考え方を取り入れてベーシックインカムと組み合わせる。
そして、子どもの人数ごとに単純に均衡点を下げていくやり方を提案します。
ある金額(均衡点)を決めて、それ以上は課税、それ以下は支給になります。
均衡点の金額が、200万円であれば、200万の所得があると、税金はゼロです。300万だったら100万円分の税金が課税されます。
税率は累進ではなく一定の税率です。子どもが多くなると、均衡点が下がる仕組みです。
児童手当は現金で給付するのではなく、使途を教育費に固定するためにバウチャーにするのが良いでしょう。
○保育施設
保育施設は、認可基準を大幅に引き下げます。
補助金は、施設を設置する時にのみ必要があるかもしれませんが、原則無くすべきでしょう。
働く女性が、預けたくとも預けられない現状を改めるには、どんどん保育施設を作り、増やすことや、多様な形態の保育施設を認めることが大事です。
現在の公的保育園は、子ども一人あたりのコストが大きすぎることが指摘されています。
安全性を重視するのは大切ですが、過度な体制になっている可能性があります。
今後の保育分野は、介護と同様に、ボランティアや未成年、外国人が活躍できるようなものになる必要があります。
安全性に対する配慮は、預ける側にも、より要求されるようになりますが、多様な保育施設から選べるようなしくみ作りをし、保育園側も選ばれるように努力するべきです。
6)少子化をポジティブに考える
東京に住んでいて、満員電車に乗ったり、車で渋滞あったりすると、人が多いなあと思います。
住居も狭く、もっと人が少なくて良いと思うときもあります。
もしかすると、人が減ることは、悪いことばかりではないかもしれません。
まだまだ、日本の労働生産性は低いと言われています。
向上の余地はまだあり、労働力不足を生産性の向上で補い、成長していくことも可能ではないでしょうか。
経済の低成長に苦しむまえには、人口が減ることがプラスに働き、劣悪な住環境が改善されたり、交通状況が良くなるという利点も出てくる可能性があります。
そうしたメリットを享受する時代が訪れるでしょうか。
わたしたちの生活の質が向上するチャンスも、そこにあるかもしれません。
この際、人口減少を利用して日本がもっと住みやすい国になるために、
人口減少社会に適した、適切な公共政策を掲げていく必要があると思います。
せっかくのチャンスと考えて、日本を住みやすい社会にしていくための準備をしていきたいものです。
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