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「産めば産むほどお得なシステム」はお得か?〜少子化の家族政策を考える〜

フランスは家族政策に関する制度が30種類以上ありますが、特徴的なのは「産めば産むほど得するシステム」になっているという事です。

例えば、日本の児童手当に近い「家族手当」という制度があります。
2子以上を養育する家庭には所得制限なしで給付されますが、1子の家庭には支給されません。

こどもの数に応じて20歳まで支給され、11歳~15歳と16歳から20歳の区切りでそれぞれ加算金が上乗せされます。

日本でも多子家庭向けにいくつかの自治体が独自の取り組みを行っています。

<東京都>

産めば産むほど得になる制度はありませんが、区によっては、独自の制度が設けられています。

練馬区  
「第3子誕生祝金」
第3子以降の誕生時に20万円支給されます。

台東区 
「にぎやか家庭応援プラン」
第3子以降の子どもについて出生時、小・中入学時に祝品(それぞれ3万円相当)が支給されます。

文京区 
認可保育園の保育料が第3子以降(3人在園などの条件無し)無料になり、
認証保育園は上限2万円まで減額されます。

江東区 
認可保育園の保育料が第3子以降無料。(3人とも在園している場合に限る)
平成22年までは、第2子以降の子どもを出産した世帯に、2万円分の区内共通商品券を支給する「ハッピーセカンド事業」がありましたが、終了しています。

葛飾区 
認可保育園の保育料が第3子以降(小学3年迄の子どもが3人いる場合に限る)無料になり、
認証保育所は、上限4万円まで減額され、保育ママ利用時は上限2万円まで補助があります。
区立幼稚園は無料で、私立幼稚園は上限28000円/月まで補助されます。
※全て所得制限なし

荒川区 
保育園(認可 認証 保育ママ)の保育料が第3子以降無料になります。(ただし2歳未満まで)

 

<新潟県>

平成25年9月から、高校3年生までの子どもが3人以上いる世帯に対して、通院及び入院医療費を高校3年生まで助成されるようになります。
今までは、子どもの人数に関係なく、通院は小学3年生まで、入院は中学3年生までが助成の対象となっていました。

<福井県>

「ふくいっ子 応援プロジェクト」は、第3子以降の子どもが3歳に達するまで認可保育料や病児保育、一時預かりが無料になる制度です。

平成18年から第3子以降の補助を行っているが、それによって出生率が上がったというデータは現時点ではない(福井県子ども家庭支援課野沢氏)との事です。

 

各自治体が、少子化対策に工夫をしていますが、子ども3人が在園していなければならないなど、条件のハードルが高く、恩恵を受ける家庭は限られています。
3人目から認可保育園を無料にしている自治体は多数ありましたが、認証保育園や保育ママも無料にしている自治体は荒川区のみでした。

平成20年から多子世帯の補助を始めたところ、データは出していないが手応えを感じている。ほとんどが認可保育所に入りたくても入れないから、仕方なく認証や保育ママを利用している。保育所の種類に関係なく無料にしなければならない(荒川区保育課係長の渡辺氏)。

また、ほとんどの制度が就学前の子どもの育児費用ばかりに目が向けられている事が気がかりです。
実際には中学、高校、大学と進むにつれて教育費がかかってくるので、補助を行う年齢やタイミングも考えていかなければなりません。

フランスの家族手当は11歳~15歳と16歳から20歳の期間は加算金が上乗せされる仕組みです。
「家族手当」の他に「大家族カード」があります。
これは、18歳未満の子ども3人以上の家庭が対象で国鉄、地下鉄、バス、デパート、スーパー、レストラン、ホテル、レンタカー、国立美術館や博物館など96の企業や施設で割引が受けられる制度です。
例えば国鉄が30%オフ地下鉄が50%オフになります。

(一人親や低所得者には、子どもが3人以下でも「子育て家族カード」を発行しています)

 また、多子家庭は「N分N乗方式」という方式で所得税が減税される仕組みになっています。
特に3人以上の子どもを育てている世帯に対して有利な仕組みになっています。
家族の所得の合計額を「家族係数」(大人は1、子どもは2人目までは 0.5、3人目以降は1)で割り、係数1当たりの課税額を決め(N分)、さらに家族係数をかけて家族全体の税額を決める(N乗)方式であり、子ども数が多いほど所得税が安くなる方式です。
他にも、子どもを3人養育すると年金が10%加算される制度もあります。

下記のグラフからもわかるように、日本は家族政策に使われるお金が少ない事は一目瞭然です。
もちろん、フランスやスウェーデンと歴史や文化、宗教なども違いますから、そのまま比べる事は出来ませんが、子ども子育てに関する予算を投入していかねばなりません。

 

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