今日から国会がはじまりました。
今回の衆議院総選挙で当選した女性は45人で、国会議員に占める女性の割合は9.5%となっています。
日本の女性議員比率は、世界的にみると際立って低く、OECD諸国の中でダントツの最下位です。
OECD加盟34ヶ国の女性議員比率を一覧にしました。(参考のため上位5ヶ国も入れております。)
「クオータ制」とは、候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる制度です。
憲法・法律で割り当てを規定する方法と、政党が自発的に割り当てを決めて取組む方法があります。
国名 | 女性比率 | クオータ制 | |
1 | ルワンダ | 63.80% | 法律型 |
2 | ボリビア | 53.10% | 法律型 |
3 | アンドラ | 50.00% | なし |
4 | キューバ | 48.90% | なし |
5 | スウェーデン | 44.70% | 政党型 |
8 | フィンランド | 42.50% | なし |
12 | スペイン | 39.70% | 法律型 |
12 | アイスランド | 39.70% | 政党型 |
13 | ノルウェー | 39.60% | 政党型 |
14 | ベルギー | 39.30% | 法律型 |
15 | デンマーク | 39.10% | 廃止 |
16 | オランダ | 38.70% | 政党型 |
18 | メキシコ | 37.40% | 法律型 |
21 | ドイツ | 36.50% | 政党型 |
23 | スロベニア | 35.60% | 法律型 |
27 | オーストリア | 32.20% | 政党型 |
30 | イタリア | 31.40% | 政党型 |
31 | ポルトガル | 31.30% | 法律型 |
33 | スイス | 31.00% | 政党型 |
35 | ニュージーランド | 29.80% | なし |
38 | ルクセンブルク | 28.30% | 政党型 |
47 | フランス | 26.20% | 法律型 |
48 | オーストラリア | 26.00% | 政党型 |
53 | カナダ | 25.10% | 政党型 |
55 | ポーランド | 24.30% | 法律型 |
61 | イギリス | 22.60% | 政党型 |
62 | イスラエル | 22.50% | 政党型 |
66 | ギリシャ | 21.00% | 政党型 |
74 | チェコ | 19.50% | 政党型 |
77 | エストニア | 19.00% | 政党型 |
79 | スロヴァキア | 18.70% | 政党型 |
80 | アメリカ | 18.30% | なし |
87 | 韓国 | 16.30% | 法律型 |
90 | チリ | 15.80% | 政党型 |
91 | アイルランド | 15.70% | なし |
121 | ハンガリー | 10.10% | 政党型 |
129 | 日本 | 8.10% | なし |
※各国の議会でつくるIPU(列国議会同盟)が公表している「女性国会議員比率ランキング」(2014年11月現在)より作成
安部政権は、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に」という成果目標を掲げましたが、残念ながら日本は取り残されている状況です。
諸外国は、1995年に「国連ナイロビ将来戦略勧告」が採択され、指導的地位に占める女性の割合を30%に増やすことが宣言されてから、「ポジティブ・アクション」と呼ばれる取り組みなどにより、積極的に女性議員を増やす努力を行ってきました。
ポジティブ・アクションとは、社会的・構造的な差別により不利益を被っている者に対して、実質的な機会均等を実現するために、暫定的に講じる措置のことをいいます。
アメリカではアファーマティブ・アクションと呼ばれ、「性別や人種を理由とした差別を禁止するだけでは不十分で、本当の意味で対等な競争が実現するまでのあいだ、暫定的な措置として失われた分の機会を補填しよう」という考え方がベースとなっています。
「クオータ制」はポジティブ・アクションの一つの手法です。
政治の世界はまだまだ男性社会です。政党の幹部はほぼ男性が占め、候補者選定の意思決定場面には男性しかいません。
また候補者は、選挙のためにも日々の政治活動が欠かせませんが、とりわけ結婚後の女性は時間的に厳しいものです。
これまでも、男性が政治家で内助の功で支える妻という夫婦はよくありましたが、逆はほとんどありませんでした。
このまま自然の流れに任せていても、30%の目標を達成することは到底難しいでしょう。
わたしは、日本もクオータ制を導入すべきと考えます。
衆議院であれば、小選挙区では当選者が1人ということで調整もかなり困難でしょう。
まずは比例区の180人枠で女性を一定割合以上にする仕組みを導入することから始めるべきではないでしょうか。
ただ、女性候補者の割合を一定数にするように政党に提案したり、スローガンにするだけでは、政党は動かないと思います。
女性は感情的だから政治には向かないとか、女性を優遇することは逆差別だというような意見を、まだまだ政治の現場では耳にします。
そこで、たとえば「衆議院比例区で女性を4割〜5割にする」というような法律を作れば、政党も必要に迫られて女性を積極的に擁立せざるをえませんし、教育にも力を入れるようになるでしょう。
フランスでは、2000年にクオータ制が導入され、女性議員の割合が増加してきました。
候補者を男女同数とすることがパリテ法で定められました。
小選挙区制の下院議員選挙では候補者を男女同数とすること,比例代表制の上院議員選挙では比例名簿の順位を男女交互とすることとされています。
韓国は、2000年よりクオータ制を積極的に取入れています。
日本以上に男女格差ランキング上位の常連国でしたが、あっという間に日本を追い抜く成果を上げています。
韓国は、日本と同じく小選挙区比例代表並立制を採用していますが、比例代表候補における女性クオータ制を導入し、比例名簿の奇数順位に女性を割り当てることが定められました。
政党に対しても、小選挙区の候補者のうち30%を女性とする努力義務が政党法により課されています。
女性候補を優遇するということではなく、人口の半分を占める女性の民意を広く集めるために、女性議員の比率を高めていくことは必要です。
出産・育児、教育、介護、そして性別役割分担による働き方や長時間労働の問題などに対し、女性議員が増えることによって、突破口が開けてくるのではないかと感じます。