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都民ファーストの圧勝で女性議員比率がクリティカルマスを超えた東京都議会

小池百合子

海老沢由紀です。
7月2日に行われた東京都議会議員選挙では、都民ファーストの会が圧勝し、議席を大幅に伸ばしました。
この結果については、驚かれた方、腹立たしく感じた方がいる一方、溜飲を下げた方も多かったのではないでしょうか。
わたし自身も候補者ではありましたが、総括については後日にさせていただくことにします。

今回の選挙結果による議席配分を見て、わたしが一番関心を持ったのは、女性議員の比率です。
最も多くの女性を擁立した都民ファーストの圧勝と、元々女性が多い共産党の善戦により、議席の3割近くを女性が占めました。

 

女性の当選者は36人で前回から11人増加

選挙前勢力 2017年都議選
議員数(女性) 女性比率 候補者数(女性) 女性比率 議員数(女性) 女性比率
自民 56(3) 5% 60(6) 10% 23(1) 4%
公明 22(3) 14% 23(3) 13% 23(3) 13%
共産 17(11) 65% 37(17) 46% 19(13) 68%
民進 18(2) 11% 23(6) 26% 5(0) 0%
生活ネット 3(3) 100% 4(4) 100% 1(1) 100%
都民ファースト 5(1) 20% 56(18) 32% 55(18) 33%
5(2) 40% 56(11) 20% 1(0) 0%
合計 126(25) 19.8% 259(65) 25.1% 127(36) 28.3%

 

わたしは以前より、アファーマティブ・アクション(積極的な格差是正のための措置)によって、女性議員や若い議員の比率を高めることが必要だと感じていました。
これまでの慣行や固定的な性別の役割分担意識などが原因で、女性政治家や若い政治家が少なく、積極的に増やす措置を取らない限り、なかなか人数格差の解消には至らないと考えるからです。

わたしが考える格差の解消は、バランスの問題であって、以前のようにフェミニストが女性の人権を言うようなものではありません。
女性がいないから何かが悪いではなく、いれば女性の感性で問題解決へのアイデアが出せたり、女性特有の事情に対する配慮なども行き届くからです。
バランスが良くなれば、より良い結果が残るはずです。

 

政府は2020年までに、社会のあらゆる分野において指導的地位に女性が占める割合を、少なくとも30%にすることを目標にするとしています。
そして「指導的地位」のトップには議会議員を掲げています。
政府目標の30%という数値は、根拠が無いわけではありません。
「クリティカル・マス」という、一定の変化を表すための臨界点であり、それ以下では十分な効果が無いと言われる目安です。
ですから、この目標をきちんと達成することには大きな意味があるのです。

クオータ制導入で女性国会議員数はどうなる(2015年7月3日のブログ記事)

ちょうど2年前に書いたこの記事で、わたしは国政において女性議員の比率をクリティカル・マス(変化への臨界点)の30%にするのは絶望的だという考えをお伝えしました。
それは、東京都議会においても同様に絶望的なものだったはずなのです。
しかし、驚くべき選挙結果により、東京都議会ではほぼ30%の比率を達成してしまいました。

小池都知事の政策には不透明なものも含まれますが、高く評価すべきものも多くあります。
受動喫煙問題に対して、子供を守ることを重視する対策を考えたことは、感性の豊かさを感じさせられます。

女性議員を増やそうという意欲も、当然評価すべきところです。
今回の選挙で、女性の候補者を意図的に多くしようとしていたことは、クォータ制(割り当て制度)による女性議員増加策を意識したものかもしれません。

 

女性候補増員の流れは国政につながるか?

このような女性候補者を増やす試みは、ずいぶん前から必要性が言われています。
本来は、自民党に対峙する既存の野党である、維新の会や民進党などが手がけねばならなかったことです。
しかし、出たとしてもかけ声だけに終わってしまったようで、実際にはなかなか難しかったようですね。
そして、しっかりツケが回った形になってしまいました。
イメージ先行だとしても、こういう新しそうな雰囲気が、選挙結果を大きく左右するようなことは、今後も多くなりそうです。

都民ファーストは、極端に男性比率の高い自民党に対し、女性を増やして結果を出しました。この流れはおそらく国政にもつながるでしょう。
各党は、女性候補擁立への努力が、よりいっそう必要になることは間違いがないところだと感じます。

この30%目標を達成した都議会がどんなパフォーマンスを示すのか。大きな期待を持って見守ることにします。

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