猪瀬都知事が、今朝の報道2001に出演していました。
都議会との関係を問われると、「都知事と都議会の両輪で」という議会を意識した表現をしました。
自民党が都議選で大勝し過半数になった場合は、都知事は自民党に気をつかいながらやっていくことになります。議会の承認を得るというより、自民党の承認を得るような形になることでしょう。
国会と地方議会の役割には違いがあります。
国会は一元代表制の議院内閣制です。原則的に与党が内閣を構成します。
内閣は直接選挙で選ばれず、与党と内閣は一体となって政策を進め行政を主導することとなります。
都議会などの地方議会は二元代表制であり、大統領制と同じです。
議員と首長は、国会と違い独立した選挙によって、直接選ばれることになります。
国会は、与党・野党に分かれて内閣を支えたり、批判したりします。
元々、与野党の対決の場所なのです。基本的に野党は与党の批判をするのが仕事です。
そして数の論理が、行政の方向付けに露骨に反映される仕組みです。
一方、地方議会の役目は、いわゆる与野党が最終的には一体となって首長を批判、監視を行ったり、自治体としての意志決定をすることです。
建前で言えば、いわゆる野党の相手は首長であり、与党ではありません。
大都市を除く多くの地方議会では、選挙時も無所属となり政党名を掲げる議員は少なく、与野党の枠組みがはっきりしていないところが多いようです。
2009年、国政では自民党から民主党への政権交代が起こりましたが、その直前の東京都議選でも、同様に民主党への政権交代が行われていました。
東京都議会の政権交代は、この仕組みの違いから、国政の政権交代とは意味合いが異なったのではないでしょうか。
都知事を支持する自民党と、批判的な民主党の数が入れ替わり、議会と首長の間にねじれが生じました。
国政では通常起こりにくい二権の間の対立構造ですが、有権者の判断により選挙によって成立したものです。
政権交代の影響は、都知事の権限の大きさからして、国政に比べて小さかったことでしょう。
しかし、この対立構造は、議会の「数の論理」によるものではなかったのです。
与野党をあげて政策論争が活発になり、質の高い議会にする大きなチャンスだったはずです。
しかし、結果的には政局に終始し、数の論理でものごとが進んでしまいました。
橋下代表と国会議員団との間に意見のずれがある時がありましたが、議会の役割に対する感覚の違いから来ていたように思います。
維新の会が、国会の仕組みを変え、総理大臣を公選制にしようとしていることは、国会も地方議会と同じ仕組みを目指すと言うことです。
橋下代表が、現在の国会における党の姿勢について、地方議会と同様の感覚を望むのも、未来の方向性を意識すれば当然と言えるかもしれません。
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