議会関連

一般会計予算の賛成討論に登壇しました 大阪市会本会議

賛成討論

3/26日の本会議で、令和3年度大阪市一般会計予算の賛成討論に登壇させていただきました。
この日は、2つの理由から大阪市において歴史的な日となりました。ひとつは、住民投票否決後、大阪市の方向性を決める初めての予算が可決された日であること。もうひとつは、大阪市を残したまま、府と市の広域的な事業の一部を一体化する「広域一元化条例」が可決されたことです。

令和3年度予算について賛成の弁を述べるにあたっては、ポストコロナとウイズコロナの2つの視点から構成しました。
市民にコロナウイルスワクチンの接種が行き渡るには、まだ時間がかかると想定される中で、新型コロナウイルスと共に歩む市民生活を支えながら、同時にコロナをのり越えた先を見通し、大阪の成長を確たるものとするための戦略を考えていく必要があるからです。その両面から、大阪の再生とさらなる成長へとつながる予算編成となっているかについて精査しました。

自民党から提出された修正案「塾代助成事業包括業務委託料(削除)」には、反対の立場で討論を致しました。
自民党は、表向きは、こどもの塾の費用を助成するという「塾代助成事業」そのものには反対しないという立場をとりながら、「業務委託先との契約などに諸課題がある」という理由を付けて、委託料を削除するよう求めました。
予算から委託料が削除されれば、塾代助成事業自体の実施を継続できなくなるにも関わらず、削除を求めてくるのはほんとうに理解に苦しみます。本音は、集票につながりにくい若い世代向けの「塾代助成事業」そのものを廃止したいということでしょう。
塾代助成そのものに反対するならば、そのまま正直に表明されるべきです。おそらくは、教育に対する助成を止めることで、政党の印象が悪くなることを恐れて、真意を隠しているのですね。

見方を変えるとこの対立は、似た方向性の政策を支持する自民党と維新の会の、本質的な理念の違いをきわ立たせていると言えます。
自民党は「現在の民意を実現する」政党。多くの既得権者の意見を重視し、投票に行く多くの高齢者票を優先します。若い世代のための政策は二の次。一方、維新の会は「未来の民意を実現する」政党です。わたしたちの子供の世代に支持されるであろう政策を考え、実現します。

以下のリンクから録画をご覧になれます。(1時間10分経過からです)
大阪市会録画配信(2021.3.26)

<全文>

私は大阪維新の会市会議員団を代表致しまして、議案第56号、令和3年度大阪市一般会計予算に賛成、修正案に反対の立場から討論をさせていただきます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりに、なられた方々に,謹んで哀悼の意を表しますとともに、感染により闘病中の方々の、一日も早い回復をお祈り申し上げます。

この1年、感染症防止対策と経済対策の両立を目指す難しい舵取りが求められてきました。非常事態においては最善と思われる意思決定をスピード感を持って判断することや、必ずしも平時の仕組みにこだわらずに、刻一刻と変化する状況に応じて臨機応変に政策決定することの重要性が浮き彫りになりました。

幸いにも本市では、平松市政から橋下市政へとバトンタッチされた2011年の翌年、2012年度に財政調整基金が創設され、この10年で、徹底した行財政改革により財政調整基金を積み上げてきました。
今回のコロナ禍で緊急対策が必要となった際に、この財源を利用して、積極的に財政出動を行うことができました。
他の政令市と比較しても、備えた貯金が大きく積み上がっていたため、コロナ禍での対応能力の差を示すことができました。市債残高は、3兆2765億円となっており、全会計ベースでは、前年度比較で17年連続、減少しております。

一方で、今後2030年度までの財政収支概算をみると、万博関連経費や淀川左岸線2期工事費の増、高齢化の進展や、障害・福祉サービス利用者の増加に伴う扶助費の増、起債償還の増加等により、通常収支不足が拡大する見込みとなっており、依然として厳しい状況に変わりはありません。
令和3年度の通常収支見込みは、令和2年度当初予算から107億円悪化し、228億の不足となっています。不足分は財政調整基金の取り崩し及び、不要地等売却代の補填財源が充てられています。

一般会計の歳入につきまして、国の新型コロナウイルス感染症・緊急経済対策として創設された徴収猶予の特例により、猶予されていた収入が、令和3年度において見込まれるものの、経済環境の大幅な悪化等に伴い、法人市民税を中心に、市税収入は大幅な落ち込みが見込まれています。
一方、歳出については、新型コロナウイルス感染症対策関連経費の増などにより、行政施策経費が、前年度より519億5900万円増となるなど、新型コロナウイルスの影響が顕著となっております。

感染症の拡大から約1年が経過し、本市では、今月8日から医療従事者向けの、ワクチンの、優先接種が始まったところです。
市民全員に接種が行き渡るには、まだ時間がかかると想定される中で、令和3年度は、新型コロナウイルスと共に歩む市民生活の支援と、大阪経済の再生を進めることと並行して、コロナを乗り越えた先を見通し、大阪の成長を確たるものとし、副首都・大阪の確立と、発展を目指していく必要があります。
ウイズコロナとポストコロナの両面から、府市一体となって取り組んでいかねばなりません。

「ウイズコロナ」の観点と「ポストコロナ」の観点と2つの側面から、令和3年度予算について賛成の理由を以下申し述べます。

まず、ウイズコロナにおいて、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を充実させることが重要です。当該予算では、新型コロナウイルスワクチン接種事業やPCR検査体制の充実、自宅療養者への配食サービス等、感染拡大防止の取組みがより一層充実したものとなっています。

子育て・教育環境の観点からは、今年度から実施している学校給食の無償化が、継続して予算に織り込こまれたことは、コロナ禍における保護者等の経済的負担の軽減につながり、コロナウイルスにより影響を受けた市民生活に寄り添った予算となっています。
また、家庭でのオンライン学習環境を整備するための予算が計上されています。
感染症や災害時など、緊急時においても、子どもたちが学びをとめることなく、成長を続けることができる環境整備が急務であります。

社会経済活動の回復に向けた取組みとしては、飲食店等への上下水道料金の特例減免をはじめ、中小企業デジタルトランスフォーメンション加速支援事業、ウイズコロナに対応した中小企業支援機能の強化など、中小企業等の事業継続の下支えをはかるとともに、新たな生活様式やビジネスモデルへの転換を促進するものです。
また、厳しい経営状況が続く観光関連事業者や、イベントの中止、延期などで新型コロナの影響を受けた文化芸術団体等への支援は、将来にわたって活気あふれる大阪をつないでいくものとなります。
ウイズコロナにおける幅広い施策によって、市民のいのちと健康を守り、コロナに打ち勝ち大阪経済を再生させるという力強い決意が感じられる予算であります。

次に、ポストコロナに向けた府市一体の成長戦略としては、2025年大阪関西万博を成功に導くことが最重要項目です。
万博の開催に向け、地下鉄の輸送力の増強、地元パビリオンの出展に向けた準備、会場となる夢洲地区の土地造成や基盤整備など、万全の準備に向けた取組みが進められています。

万博開催やIR誘致に不可欠な、夢洲のインフラ整備により、都市魅力向上に資する国際観光拠点の形成を実現することで、
大阪関西に多大な経済波及効果や税収等を生み出し、持続可能な成長エンジンとなることが期待できます。
また、スマートシティ戦略推進のための事業費として、スーパーシティ基本構想の策定や行政手続きのオンライン化の推進費用が計上されています。
スマートシティの推進にあたっては、民間事業者の新技術の社会実装にあたっての課題をとりのぞく支援・施策を行うことが求められます。
そこから得られた知見や経験を行政に還元することで、大阪が抱える社会課題の解決につながり、市民のQOLの向上に資するものであり、積極的に推進すべき事業です。

そのほかにも、国際金融都市の実現に向けた挑戦や、新大学設置による知の拠点の形成、SDGs達成に貢献する環境先進都市に向けた取組みの推進事業、うめきた2期区域や新大阪駅周辺のまちづくり、鉄道、高速ネットワークの充実、防災力の強化、震災対策の推進、成長産業の育成など、コロナウイルス感染症による問題が継続する中で、その対策に万全を期しながら、ポストコロナに向けた府市一体の大阪の成長戦略を描く、力強い予算編成となっています。

昨年11月に行われた「大阪市を廃止して特別区を設置する」いわゆる「大阪都構想」の住民投票では、僅差ではありますが、反対多数で否決される結果になりました。市民は、大阪市を存続させるという民意を示したわけです。
住民投票否決後、大阪市の目指す方向性を示す、はじめての予算編成となります。
これまでの大阪都構想に向けた議論により、二重行政をはじめとした大阪が抱える様々な課題が抽出されました。
当該予算は、明らかになった課題を解決するために、府市一体となって大阪の成長戦略を策定すること、そして、基礎自治体として、市民サービスの充実をはかるということ、大阪市が目指すべき姿を明確に示した、大いに評価できる予算であります。

次に、修正案に対して反対の立場から申し上げます。
自民党から、「塾代助成事業の包括業務委託料の削除」の修正案が出ております。
包括業務委託料を予算から削除すれば、来年度より塾代助成事業自体が実施できなくなります。
委託契約に、課題があるというのならば、まずは、その課題そのものについて順に対処すべきであり、それが合理的な対応となるのではないでしょうか。
塾代助成事業全体がとまることで、一番影響を受けるのは子どもたちです。

自民党は、「塾代助成そのものには反対していない」とおっしゃいますが、塾代助成ができなくなっても、それはそれで、致し方ないということでよろしいでしょうか。

西成区でのモデル事業実施から来年で10年なりますが、この間、市民の皆様にも広く認知され、制度の定着が順調に成果をあげてきております。引き続き、子ども達の学びの可能性が広がるよう充実させていくべき事業であり、修正案には賛同できません。

来年度も、新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続きますが、2025年大阪・関西万博に向けて、コロナ終息後の大阪を、いち早く立て直さねばなりません。
当該予算は、府市が一体となり大阪の成長戦略を描き、大阪の経済を、コロナ前の成長軌道に戻し、そして、さらに、強い大阪・副首都大阪を目指していく内容となっており、大いに評価できる予算であります。
市民のみなさまとともに新しいステージへと、しっかりと、のぼっていけるものと思っています。

当該予算・原案に対して、議員各位の賛同を心からお願い申し上げまして、私の討論とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

☆質疑の模様は、youtube「大阪市会録画放映チャンネル」 でもご覧になれます。

(注)下の動画は、セキュリティの問題で、再生ボタンをクリックすると出てくるリンクからyoutubeのチャンネルに飛びます。

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