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「陽性」判定が出た中に本当の感染者はどのくらいいるのか? ~ 現時点で安易にPCR検査を広げない方がよい理由

コロナウイルスPCR検査

コロナウイルスに対し陽性反応が出た患者さんが、翌日、一転して陰性になったケースについての記事が出ていました。感染症の専門家が、PCR検査の精度についてコメントしています。

本当は感染していない普通の風邪かもしれない500人が加わることで入院ベッドが足りなくなるなど医療現場に混乱が生じることにもなります。

新型コロナウイルスで注目「PCR検査の精度」専門家に聞く

現在の精度のPCR検査によって検査した場合、「陽性」判定が出た方の中に本当の感染者はどのくらいいるのか?「検査した集団の感染の確率」ごとに区切って計算してみました。
「濃厚接触」としてスクリーニングされた場合は、元々の感染の確率は高いでしょうし、患者さん自身が「心配だから」という理由で検査する場合は、感染の確率は現状ではかなり低いと考えられます。

PCR検査の精度については、たくさんの医師が多少のバラツキの幅で話しているようです。今回はこの記事にあるように、「感染した人を正しく陽性」と判定する確率が80%(感度80%)で、「陰性なのに陽性」と出てしまう確率が5%(特異度95%)の仮定に基づいて一覧にします。計算結果の都合上、10万人検査した場合で計算しました。

感染した確率が1000人に1人の場合
判定 陽性 陰性 合計
罹患している 80人 20人 100人
罹患していない 4995人 94905人 99900人

陽性判定された5075人(80人+4995人)中、実際に感染しているのは80人。感染していない4995人が入院することになる。

 

感染した確率が100人に1人の場合
判定 陽性 陰性 合計
罹患している 800人 200人 1000人
罹患していない 4950人 94050人 99000人

陽性判定された5750人(800人+4950人)中、実際に感染しているのは800人。感染していない4950人が入院することになる。

 

感染した確率が10人に1人の場合
判定 陽性 陰性 合計
罹患している 8000人 2000人 10000人
罹患していない 4500人 85500人 90000人

陽性判定された12500人(8000人+4500人)中、実際に感染しているのは8000人。感染していない4500人が入院することになる。

 

10人に1人の確率になって、やっと実際に感染した患者さんが、誤って陽性判定になった方を上回ります。
それでも、4500人の方が必要がないのに隔離される可能性があります。

 

つまり、検査で一番大きく影響する要素は、実は病気の確率です。

病気の確率によって、実際の感染がある患者さんと実は感染していないのに「陽性」になる患者さんの比率が大きく変動するということです。
あまり感染の可能性が高くない人や集団を検査をしていくと、偽陽性(ほんとうは感染していないのに陽性と判定されてしまうケース)が大量に発生することがわかります。

実際には感染していないのに陽性と判定され、「コロナウイルスに感染した患者」として病院に入院し、隔離されてしまう方が大量に発生してしまうのです。
感染した確率が高くない方に対して検査を行うことが、医療体制を維持する上で有害であることは明らかでしょう。

 

それでは、念のため検査の精度が格段に上がったケースを想定し、99%の感度で「陰性なのに陽性」と出てしまう確率が1%の場合も一覧にしてみます。

感染した確率が1000人に1人の場合
判定 陽性 陰性 合計
罹患している 99人 1人 100人
罹患していない 999人 98901人 99900人

陽性判定された1098人(99人+999人)中、実際に感染しているのは99人。感染していない999人が入院することになる。

 

感染した確率が100人に1人の場合
判定 陽性 陰性 合計
罹患している 990人 10人 1000人
罹患していない 990人 98010人 99000人

陽性判定された1980人(990人+990人)中、実際に感染しているのは990人。感染していない990人,
倍の人が入院することになる。

 

感染した確率が10人に1人の場合
判定 陽性 陰性 合計
罹患している 9900人 100人 10000人
罹患していない 900人 89100人 90000人

陽性判定された10800人(9900人+900人)中、実際に感染しているのは9900人。感染していない900人が入院することになる。

 

この場合でも、100人に1人の場合でやっとほんとうの感染者が半分。
病院に入ってしまう患者さんが倍になることがわかります。
これでは医療現場が崩壊するのも無理からぬこと。

感染の確率が著しく高いと思われる場合を除いて、現在の精度での検査数を増やすことが良いこととは、到底思えません。
やはり現状では、濃厚接触者やスクリーニングで絞られた患者のみに検査を行っていくのが合理的と言えるようです。

参考:飯田泰之『思考の「型」を身につけよう』、朝日新聞出版、2012

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