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意見が分かれている2つのこと

維新の会の支持率がいっこうに上がらないということで、ちょっと困ったものだなというところなのですが、一言で言えば、「何をやりたいのかわからん」という風に見えるということでしょうね。

支持率もあちこちから出されていて、一喜一憂すると思いますが、長期にわたる調査を公表しているNHKの支持率で比較してみます。

2.4%というのは、2019年の統一地方選で大阪での躍進を受けて一気に支持が伸びて、3か月後に前々回の参院選があった時の支持率あたり。
東京選挙区で言うと音喜多さんが当選した時くらいで、その以前の1%うろうろの頃に比べれば、まあ、全然マシと言えなくはないのです。
しかし、一回7%くらいまで上がったところからのダウントレンドの中と言うことで、みなさんもかなり心配でしょう。

また、昨年の衆院選は、ほんとうに久々に自民党が負けた選挙ですから、そんな千載一遇のチャンスで失敗したことは、素直に反省して、政策や発信の方向性を見直すべきタイミングだと思います。
誰が悪いかとかは、とりあえず置いておくとしても、失敗したタイミングにやっていたことを大きく変える必要はあると思います。
人員もその時点で関与していた方々は、良い悪い関係なく、いったんは中心から外れたほうがいい。「チェンジ」は必要です。

さらに、NHKの支持率を見れば、いくら国民民主が伸びたとは言っても、自民党の支持率には遠く及ばないのであり、あんまり一緒に逆方向に行って騒いでも仕方がないのではないかとも感じているところです。
いまの国民民主の支持の源泉は、主に政府に対する不信感だと思いますので、支持されているのは政策の方向性とは異なる可能性があることを、気に留める必要があると思います。

現状どうしてこれだけ意見が割れて混乱しているのか

多くの皆さんが、はっきりわからずに不満を抱えていることだと思いますので、ちょっと整理してみたいと思って、今回の記事を書いています。

見方が分かれていると思われることを、以下の4項目について簡単に検討して行きたいと思います。
特に、最初の2つに対する考え方の違いで、まったく食い違ってきますので、皆さん、2つだけでも、よく考えてみましょう。
いくら議論しても一致はしないと思うので、項目を挙げるだけ。そこで食い違ってたんだね、と確認するだけでも良いかと思います。

1,赤字国債は発行できるのか?
2,歳出削減が可能か?
3,消費税の善悪
4,単純に私の生活が苦しくてもう限界と言う主張

1,赤字国債は発行できるのか?

「未来世代にツケを回すのか」
そういう論点もあると思います。

そこが、国民民主と維新の会の主要な食い違いなのかなと、わたしは思ってますが、現状では論点はそこじゃなくて、「大丈夫か?」と言う点だと思います。

つまり、長期金利の上昇リスクなど、現状認識の差です。だから、党内でもイデオロギーに関わらず意見が分かれる。
これ以上の赤字国債発行が、リスクが大きいと考えるか、大丈夫と考えるか。
いまは、長期金利が急騰してくる、つまり国債が売られてくる、インフレが強化される、ということですが、はたして更なる発行が許容範囲なのか。

わたし自身は、これ以上の発行は、経済安全保障の範疇だと思っており、もはや危険水域だと感じています。
しかし、経済学者の間でも意見が分かれると思いますから、どっちが正しいとか決めるのは難しいことです。

「安全保障」だとするならば、リスクをどこまで許容できるのか。
甘い見通しで「大丈夫」ではダメだと思うんですね。
中国が攻めてくるわけないのだから自衛隊はいらない。とか、核が使われるわけないから日本はノータッチで。と同じになるのでは、政治としては無責任ではないのかなと。
結局は、現状認識の差。何年か後に答は出るでしょうけども、今は誰にもわからないということです。

2,歳出削減が可能か?

歳出が増えている主要な原因は、医療や年金などの社会保障費の拡大で、少子高齢化という根本的な社会構造の問題から来ているものですから、制度変更をしない限り黙って増えていくものです。
つまり、歳出を「減らす」には大きな制度変更が必須。
減らすのか、現状維持か、増えるのはしょうがないのか。これは、できるできないではなく、決めることです。
つまり、高福祉高負担にするのか低福祉低負担にするのかは、政治や有権者がしっかり考えて「決める」ことです。

憲法や判例などとの関係で、できないこともあるでしょうけど、方向性はしっかり決めていくしかないことだと思います。

行政改革で簡単に減らせると考えている方には、民主党政権の事業仕分けを思い出してもらいたい。行政改革は必要なことだけど、それだけで歳出削減が可能になるわけがないのです。

ここまでで出てくる結論

さて、ここまでで、出てくる結論は全く異なります。

たとえばですが、国民民主は、歳出削減は言及せず、赤字国債は発行可能と言っている。
つまり、減税は財源に関わらず可能になります。

維新は、歳出削減が可能で、赤字国債は発行しない。
つまり、減税するなら、歳出削減を伴う。

わたしは、赤字国債は減らすべきだと考えており、歳出削減が現状では難しいと考えています。方向性として削減できると思っていますが、たとえばここ数年での大幅な削減はやや難しいのではないか。
わたしと同様の考えの方は、必ず「税収中立」になりますから、何かの税を減らすなら、他の税への付け替えが必要になる。
消費税を減税するならば、法人税や所得税は増税するしかありませんし、社会保障費を減らすなら、何らかの税の増税が必要です。

3,消費税の善悪

消費税が公平な税であるという一方で、消費税が日本国衰退の原因だと考える方も、一部にいらっしゃいます。
1989年に法人税収が最大になり、同じ年の消費税導入からやや遅れて法人税率が段階的に下げられてきました。
それ以降、見事に日本経済は継続的に悪いのですから、そう思うのも不思議ではないかもしれない。

消費税は、当初は高齢者の福祉目的で、のちに子育てなどを含む社会保障費の増額を補う目的で増やされてきました。
それとは別に、グローバル社会を受け入れるにあたって、法人税を下げないと、国内企業が海外に行ってしまう。それを食い止めるために、法人税の減税も大幅に行われてきました。

時系列だけで考えるなら、税収は、消費税が無くて法人税や所得税が高かった時の方が良かったし、経済もその時の方がずっと良かった。
それなら、一回消費税を廃止または減税して、それを法人税や所得税に付け替えれば良いと考える方の言い分も検討に値します。
因果関係は疑わしいが、一度実験的にやってみることも、絶対ないとは言えないかもしれない。

逆に、このことに懐疑的であるならば、他のたくさんある要素、グローバル化や少子高齢化、などの要素が税収に関係しているんだよ。となり、「バカなこと言うな!」になるのです。

4,単純に私の生活が苦しくてもう限界と言う主張

このたび、トランプさんが大統領に選ばれましたが、アメリカでは州の格差が5倍以上になっているそうですね。
日本と違って、グローバル化の恩恵を受けて繁栄してきたアメリカは、それと引き換えに格差が拡大した。
日本では、グローバル化でむしろ国力を落とした上に格差は拡大しています。

アメリカでは、政治は金の問題です。
大統領選ともなると、莫大な資金が投入されて、どれだけ資金力を持っているかの戦いとなる。アメリカ民主主義の本質は、資金力が支配する金権政治である。

ハリス氏、選挙支出でトランプ氏を圧倒-1日当たり7億円の差

でも、今回の大統領選は、ハリスさんの半分くらいしか資金力がなかったトランプさんが当選しました。
アメリカの有権者は「チェンジ」を求めた。

日本では、公には政治はお金とは切り離されてきており、政治資金の不透明さが露出すると、自民党は批判の的になりました。
しかし、そうは言っても、政治には多少なりとも資金力が必要なことは確かで、まだまだ金権政治の残り香はあります。これが、政治不信につながっている。
維新の会だって、お金とは完全には切り離せない。選挙に出るためには莫大なお金を用意する必要がある。わたしも、前回の参院選東京選挙区に出馬した時に1500万円の自己負担を強いられた。
今回も、参議院大阪選挙区に公認されるためには、1千万円以上の資金を用意したうえで予備選に臨まないといけませんでした。選挙に「参加する」だけでも大変です。

さて、多くの大衆は、ここ30年ずっと苦しみ続け、アベノミクスによる大量の国債発行で問題の露出は先送りされましたが、経済成長の無い社会に生きてきました。
グローバル化で世界は豊かになったとされますが、日本はむしろ貧しくなった上に、国内格差も拡大したのですから、たまったものではない。
これ以上待っても、自分の環境は何も変わりそうにない。そう思った大衆、いま以上に悪化することは想像できないくらいまで追い詰められた人たちは、後はどうにでもなれと、開き直るしかないのではないのか。
誰が悪いのか全くわからないが、もういい加減にしろ!って叫ぶしかないのではないか。
自身の考えが、論理的に倫理的に間違っているとしても、減税を望み、社会保障の減額を望み、あとはどうなってもしらん。まず、いまの自分のことだけを良くしろ!と、言ってるように聞こえます。

日本の大衆も、アメリカ国民と同様に「チェンジ」を求めている。
それには、論理も正当性も必要ないのだと。もう行くところまで行くしかない。そう叫んでいるように、わたしには聞こえるのです。

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