議会関連

医療的ケアを必要とする児童の受け入れについて 教育こども委員会質疑

医療的ケア児

以下のリンクから録画をご覧になれます。(21分~です)
大阪市会録画配信(2021.3.10)

医療的ケア児

医療的ケアを必要とする児童の受け入れについて<全文>

Q1(海老沢由紀)
医療的ケアを必要とする児童の、保育所への受け入れについて伺います。
本市における待機児童は年々減少傾向にありますが、待機児童の多くを占める障がい児の受け入れ強化策は喫緊の課題です。
令和2年4月の待機児童のうち、その障がい児の中で、保育所での集団保育が困難な児童も含めた医療的ケアを必要とする児童が3人とのことですが、保育所への入所を希望する当該児童は年々増加していると聞いており、その受け入れ体制の支援策が必要と考えます。
令和3年度の予算案では、そういった児童の保育所の受け入れ支援策として、看護師の人件費補助が新たに設けられており、本予算が成立すれば、今後、受け入れの促進が図れるものと期待しています。
まず確認しますが、今回の予算案では看護師1人あたり年額548万4千円、総額6千32万4千円の予算が計上されていますが、この積算根拠について伺います。

A1(永井こども青少年局保育所運営課長)
本市としても、待機児童の解消を目指すとともに、障がい児をはじめとする保育ニーズにしっかりと対応することは重要な課題であると認識しています。
公立保育所ではこれまで医療的ケアを必要とする児童への対応は、任期付職員の看護師を雇用して対応を行ってきました。
本市ではその目的以外にも任期付職員の看護師が雇用されており、継続した雇用の確保に繋がっていることから、今回の補助単価の設定にあたっては、本市全体の任期付職員看護師の平均給与額を準用しています。
また、予算の総額については、民間保育園における直近3年間の対象児童の受入れ実績が11施設であったことから、その実績を踏まえ、令和3年度、民間保育園への入所を希望する児童の見込み数を11人とし、先ほどの補助単価を乗じた結果、総額で60,324千円となっております。

Q2
本市での受け入れ状況としては、令和2年4月1日現在の、医療的ケアを必要とする児童の入所児童数は、公立保育所3人、民間保育園5人の計8人。過去2か年の入所児童数は、令和元年4月は公立保育所3人、民間保育園4人の計7人。平成30年4月は公立保育所4人、民間保育園4人の計8人と聞いています。
過去3年間の入所児童数をみると、毎年8人程度の対象児童について保育所への入所決定がされていることになりますが、実際に申込みがあった件数を教えて下さい。また、令和3年4月に向けた、入所申し込み件数も、どのくらいあったのか伺います。

A2
各年度の4月入所の申し込み件数についてですが、平成30年度~令和2年度までは、民間保育園の申し込み件数の把握ができておらず、公立保育所における申し込み件数となりますが、平成30年度は11人、(平成31年)令和元年度は6人、令和2年度は17人であり、直近の令和3年度では、民間保育園への入所希望を合わせて27人となっております。

Q3
来年度に向けての、医療的ケアを必要とする児童の入所申込み数が27人ということですが、先ほどお聞きした令和3年度の予算では、見込みの人数を、11人として計上されています。今回の看護師配置の補助は、民間保育園が対象であることから、それ以外の児童は公立保育所での受け入れになると考えられますが、公立保育所の今年と去年の受け入れ児童数が3人だったことを考えると、入所を希望している、医療的ケアを必要とする27人の児童を、受け入れることは可能なのでしょうか。

A3
入所申請があった児童については、病状や様態が急変する可能性がないかなど、保育所での生活の可否について事前に審査し、対応が難しい場合には、状態が改善するまで入所を見送る場合があります。
また、最終的な入所決定に至るまでには、各区役所において、保育の必要性がより高い世帯から順番に利用調整による選考が行われることから、判定点数が低く入所できない場合や、希望する保育所に空きが無いなどの理由により、入所申請をしても全ての医療的ケアを必要とする児童が入所できるとは限りません。
なお、来年度に向けては、民間保育園への支援に加えて、公立保育所においても看護師体制の強化を予定していることから、これら全体の状況を考慮しますと、入所を希望する児童のうち入所要件を満たしている児童への対応は可能と考えております。
今後、引き続き公立・民間で相まって調整作業を進め、1人でも多くの児童を受け入れられるよう努めてまいります。

Q4(中林こども青少年局給付認定担当課長)
医療的ケアを必要とする児童も必要でない児童もおられる中で、どのような過程で、どのような順番で選考されていくのか。
最終的に判断し決定する権限は誰にあるのでしょうか?

A4
保育所等への入所申込にかかる選考についてでございますが、まず、各区保健福祉センターにおいて、保育所等の入所申込をされた保護者や児童の状況を確認、審査のうえ保育の必要性の認定を行います。
次に、本市の保育利用調整基準を基に点数をつけ、点数の高い方から順に希望する保育所等での児童受け入れが可能かどうかや、職員確保状況等を確認し、調整を行ったうえで、保健福祉センター所長名で保護者へ利用調整の結果通知を行います。

Q5
保育の利用調整基準の基本点数は、フルタイムで就労されている場合は100点、月48時間程度のパート就労なら60点というように、フルタイム就労の方が、高い点数となりますが、仕事を探される場合は30点と、かなり低い点数となります。
医療的ケアを必要とする児童の保護者の方は、通院等のため、就労したくてもできなかった方もおられ、こどもを保育園に預け、これから求職活動をしたいと、考えられる方もいらっしゃると思います。
医療的ケアを必要とする児童が、保育所等を利用する場合、区の「保健福祉センター所長」の判断による加点等、優遇措置はあるのでしょうか。

A5
医療的ケアを必要とする児童につきましても、保育利用調整基準に基づき利用調整を行うこととなりますが、保育利用調整基準の基本点数表においては、保育の必要性の事由として、就労や就労内定、求職中、ひとり親など11項目の事由について基本点数を定めております。
その事由とは別に「その他」の事由として、障がい児や支援を要する児童など、児童福祉の観点から保育の必要性が高いと保健福祉センター所長が認める場合を設けております。
これは、医療的ケアを必要とする児童を含め障がい児などの保育の必要性については、個々の児童、世帯の状況などについて、各区保健福祉センターにおいて個別に別途ご判断頂き、必要に応じて加点などを行えるよう設けているものです。

Q6
保育所への入所における利用調整や選考にかかる対応は理解しました。
点数が低い、希望する保育所に空きがない、看護師の確保が出来ず入所できないといった理由以外で、保育の必要性が高いと認められながら、医療的ケアを必要とする児童が保育所に入所できないとされるケースでは、どのような点を判断基準としているのでしょうか。また、その児童は、将来的にも入所は難しいのでしょうか。

A6(永井こども青少年局保育所運営課長)
入所を希望する児童の中には、病状が安定しておらず治療中で手術を控えている場合や、呼吸障がいで気管切開や人工呼吸器を使用しており、医師から感染症に対するリスクが高いと示されている場合には、多くの乳幼児が生活する保育所という環境での集団保育がどうしても難しいと判断することがあります。
しかし、個別に状況を見ながら医師の見解を仰ぎ、安全安心な保育と医療的ケアの提供が可能かどうかの視点から検討を続けていくため、一度は受入れが難しいと判断した児童でも、以前の病状や状態が改善し安定した場合や、安全を確保できる環境要件が整った場合には、受入れが可能となります。

Q7
入所の判断基準については理解しました。
保育所での保育が可能であると判断された児童でも、個々の状況が違うため、入所の可否の判断も難しい面があると思いますが、その判断によって、入所できる児童もいれば、入所できない児童も出てくるわけです。
安全安心な保育を実施するために、児童の状態に配慮した上で、不公平がないように判断をお願いしたいと思います。
また、児童の安全を担保するためには、看護師の配置は必要不可欠であり、その確保策を講じることは極めて重要なことです。
令和3年度から、新たに看護師の人件費補助が設けられれば、予算の側面からは有効であると考えますが、新型コロナウイルス感染症対策もあり、看護師の確保が難しい状況が伝えられている中で、その状況について、どのように分析されていますでしょうか。

A7
委員ご指摘のように、コロナ禍にあって、医療機関における看護師不足の実情は大変厳しいものがありますが、看護師の働き方に対する希望も様々であり、例えば夜勤が無いということで保育所を希望する看護師も少なくありません。
看護師の確保については、これまで本市に医療的ケアを必要とする児童の対応にかかる看護師を雇用した場合の補助制度がなかったことから、民間保育園としては運営的にも確保が難しく、その人件費補助について多くの民間保育園から要望があったところです。
今回、看護師の人件費補助を新たに設けることで、民間保育園からは、この補助金を活用して受入れを検討しようとする問い合わせや、新たに看護師を雇用し、医療的ケアを必要とする児童を受け入れると言う話も聞いておりますことから、人材確保が厳しい状況の中ではありますが、今後、民間保育園における積極的な取り組みが促進されるものと考えております。

Q8
看護師の確保が、難しい背景には、看護師不足があるものの、人件費の予算がなかったことが大きな要因であったということです。
今回の看護師の人件費補助の創設により、医療的ケアを必要とする児童が保育園に入所できる可能性が広がっていくと期待していますが、現状では、障がいのない児童の保護者と障がいのある児童の保護者の就労率を比べてみると、障がいのある児童の保護者の就労率が極端に低くなっています。
フルタイムで働く母親の就労率をみると、障がいのない児童の場合の34%に対して、障がいのある児童の場合はたった5%であり、7倍もの開きがあります。
医療的ケアを必要とする児童を、育てている保護者の方から、「どうせ保育園には入れないから働くことをあきらめた」という声も聞いています。区役所の窓口で相談しても、消極的な対応をされると申請手続きに至らないケースもあり、実際の申込数では見えてこない潜在的な保育ニーズがあると思います。
医療的ケアを必要とする児童やご家族に対して、積極的に情報発信する必要があると思いますが、見解を聞かせてください。

A8
本市では、医療的ケアを必要とする児童について、保育所での円滑な受け入れを促進することを目的として、令和3年1月に「大阪市立保育所における医療的ケア児受入れに関するガイドライン」を策定し、区役所や保育施設等に配付を行うほか、本市のホームページへも掲載し、情報発信に努めております。
また、区役所や保育施設等に対しては、対象児童の保護者から相談等があった際には、そのガイドラインを参考にしながら、丁寧な案内や情報の紹介を行うよう周知しているところです。

Q9
令和2年12月に行われた、「大阪府の医療的ケアを必要とする障がい児の実態調査」では、医療機関を対象に調査した重複を含む推計値ではありますが、大阪市内で、医療的ケアを必要とする障がい児は574人だったとのことです。内訳は、0歳〜6歳が203人、7歳〜19歳が371人です。
令和3年度に向けた保育園の申し込み件数が27人と答弁をいただきましたが、医療的ケアを必要とする児童203人の中で、約12%の方しか申し込みをしていないということになります。
単純に計算することはできませんが、潜在的な保育ニーズがかなりあるのではと想像します。
国においても、医療的ケアを必要とする児童やその家族への、支援の充実を図る方向で取り組みを進めると聞いていますが、医療的ケアを必要とする児童をはじめとする、多様な保育ニーズへの対応について、今後、こども青少年局としてどのように取り組んでいくのか伺います。

A9(松田こども青少年局保育所機能整備担当部長)
本市では、医療的ケアを必要とする児童を含め、その児童に障がいがあるかないかに関係なく、こどもたちが等しく保育を受けることができる環境を確保し、そのこどもたちの成長・発達を保障できる、安全安心な保育を行うことが重要と考えております。
そのためには、公立保育所、民間保育園がともにその役割を十分発揮し、様々な保育ニーズに対応できるよう取り組みを進めていく必要があります。
今回お願いしている看護師の人件費補助の創設は、そういった支援策があれば受入れを進めたい意向のある民間保育園の積極性を高め、また、他の民間保育園についても受け入れを検討する機会をつくることから、本市全体として、これまで保育が必要とされながら入所できなかった対象児童に関する理解と対応が進むことを期待しています。
また、そのことにより、本市の待機児童解消という重要な取り組みにおいても、大きな前進が図られることも期待しているところです。
今後、国の動向や対策の内容等にも注視する必要があり、本市としましては、それらの点に引き続き意を用いながら、補助事業の実施についても利用状況や効果等の検証をしっかり行うことで、多様化する保育ニーズに対し、さらに的確かつ効果的に対応できるよう取り組んでまいります。

(要望)
医療の進歩とともに、医療的ケアを必要とする児童は増加傾向にあり、国においてもその支援策の取り組みが進められています。厚生労働省の示す医療的ケアを必要とする児童の推計値を見ましても、令和元年では20155人となっており、平成17年の9987人の約2倍となっております。
今回は、保育所の入所にかかる、医療的ケアを必要とする児童の、支援について質疑を行っていますが、保育所を卒園すれば、次は小学校、中学校、高校へと進学します。
様々なステ-ジでの、切れ目のない支援が必要となりますので、障がい児施策全般の支援として、関係局が連携して市内全体の医療的ケアを必要とする児童の、施策の充実に努めていただくことを要望しておきます。¥

☆質疑の模様は、youtube「大阪市会録画放映チャンネル」 でもご覧になれます。

(注)下の動画は、セキュリティの問題で、再生ボタンをクリックすると出てくるリンクからyoutubeのチャンネルに飛びます。

PAGE TOP