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海老澤由紀

学習棄却 政界one eighty (180°)2014年8月7日号(第24号)

※このページは、発行済メールマガジンの一部要約改変記事となります。

 

先日すごく暑い日だったのですが、新宿の都議会のすぐ近くのプールに行きま
した。ホテルの中のプールです。プールサイドにいると日も当たってるし、す
ごく暑いんですね。でも水に入ると最初はけっこう冷たくて寒くなります。
水温を見たらそれほど冷たくなくて28度でしたが、気温が高過ぎるから冷たく
感じるのでしょう。気温が28度だったら暑いのにと不思議に思いました。
夕方になって日当たりが悪くなると、今度はビル風で体が冷えてきました。水
に入るとお湯のように生ぬるく感じて暖かい。温度も大事なんですが、温度差
ってさらに大事なんだなと思いました。

8月7日号の内容です。

 1 ゆでガエル現象

 2 組織改革には学びを捨てることが必要

 3 なぜ人口減少で女性や老人の労働力が必要か

 4 なぜ小さい政党に分裂するのか

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1 ゆでガエル現象
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昨年の初め。何度か国会議員の方々にお会いして、提案したり、疑問をぶつけ
たりしていました。「せっかくここまで来たのに、このままじゃ党がだめにな
ります。」「やり方を変えないとダメです。」偉そうにしてるように聞こえる
かもしれませんが、わたしは、おそらく「一般有権者歴」に関しては、どの国
会議員の方よりも長いはずです。一般の有権者の意見としてイライラする部分
を丁寧にご説明申し上げてきたつもりです。

しかし、いくら言ってもピンと来ない様子でした。当時5%くらいの支持率で、
「このままだとまだ下がりますよ。」と言ったら、大阪選出のある国会議員の方が
「昨年(2012年)が出来過ぎで、今が底だから、もう下がらない。」と楽観視
していて呆れました。結果はご覧の通りです。

なんで普通の人が考えたらわかることを、全くわからないのかと思っていたの
ですが、最近大学で組織についての勉強をして、「ゆでガエル現象」の話を聞
いて、妙に納得しました。
ゆでがえる現象とは、たとえ話なのですが、

カエルを熱湯に入れるとびっくりして飛び跳ね脱出・生存するのに、
冷水に入れ緩やかに温めていくと、水温が上がったのになかなか気付かず死亡する。

こんな話で、つまり、人間は環境適応能力を持つがゆえに、変化を致命的なも
のであっても、受け入れてしまう傾向が見られる。例えば業績悪化が危機的レ
ベルに迫りつつあるにもかかわらず、低すぎる目標達成を祝す幹部や、敗色濃
厚にもかかわらず、なお好戦的な軍上層部など だそうです。

維新の会は鍋の中です。外から見ると熱湯になってるのに、中では気づかず、
未だに仲間割れしたり、名称や事務局の場所でもめたりして、全く外のことが
見えていない。
まるで、危機的な時期の自民党や、終局の民主党と同じ様相です。なぜ、既存
の政治家は何度でも同じ間違いを繰り返すのでしょう。

じゃあ解決法はということで、「学習棄却」という用語が出てきました。
組織を変えるには、一回捨て去ることが必要。だいたい、当初の維新の会は、
統治機構の改革と言って、国の組織にそれを目指していたのではないか。そう
考えると変な感じです。よく思い出してもらいたいものです。

(次のトピックに続く)

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2 組織改革には学びを捨てることが必要
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人や組織は、過去に自らが経験・学習し獲得した知識を参照して対処しようと
します。特に、大きな成果を上げた経験ほど「成功体験」として後々の判断・
行動に大きな影響を及ぼし続けるのです。

いったん学習した知識は、最初は判断の拠り所として価値をもちますが、時間
の経過とともに鮮度が落ち、やがて時代遅れとなって正しい判断を阻害する要
因に変化していきます。変化の阻害要因なった知識はイノベーションの足を引
っ張るので、一刻も早く無くす必要があります。古くなった知識を捨て去るこ
とを「学習棄却」と言います。変化の激しい環境に柔軟に対応していくために
は、学習棄却を行うことができる能力が求められるのです。

大事なことは、環境が変化したことです。それに気づかないから「ゆでガエル」
になります。

自民党と民主党の悪政から「政治を変える」ことを国民が必要だと感じて、
維新の会を熱狂的に支持した状況。(維新の会の成功体験)
  ↓
既得権を打破すると言いながら、たちあがれ日本と合併し、国の統治機構を変
えると主張しながら、大阪に事務所を置くことにこだわるなど。およそ普遍的と
言えず整合性のない維新の会の行動は、政治改革をうたうには迫力を欠いた。
それを国民が敏感に感じ取ったため、結果、期待感を減らし、自民党消極的支
持に戻った。
  ↓
与党に戻った自民党が意外と悪くなかったから、「政治を変える」必要性を国
民がひとまず感じなくなった。(環境の変化)

関連記事:政治に関わる普遍的な思い

 

組織を変えるために障害になること、変革の重さにつながることは、以下の様
な考えだとされています。

・一人でもゴネると大変
・激しい議論は子どもだと思われる
・対立を回避するヤツが出世する
・メンツを重視しがち
・過度に合意形成を重視
・体制順応志向

必要なのは、組織の中の一人ひとりが変化の必要性を共有できていること。

新たな環境に相応しい考え方・ふるまい方を熟達する
  ↓
すでに「因習」となった経験・実践知を棄却
  ↓
変化を「自分事」として受け入れる批判的態度

 

組織を改善したいという動機からの批判的態度は、とても大事だと思います。
結果が伴わない場合は、それまでの行動を正当化せず、批判的に検討するべき
です。政治家の用語で「総括」と言うようですが、とても大事です。

そして、組織が「変わろうと行動しているが、変われない」ということは少な
く、「変わろうという意識が低く、行動自体を起こさない」ということが圧倒
的である。つまり、必要な変化ができないのは、組織のメンバー自体が変化の
必要性を認識していないからです。
また、過去の組織や考え方を「活用」するのは間違いで、「探索」せねばなら
ない。つまり、必要なのは再編ではなく再構築または新設です。

「既存の政党ではできない」「職業政治家ではダメ」と、当初は維新の会も主
張していたはずです。わたしも衆院選の時からずっと主張してきました。

 

まとめると、一人ひとりが、変化の必要性を共有する。ちょっとずつ変えるの
ではなく、過去はすべて捨て去り、完全な作り直しを目指す必要があるという
ことです。

政党も政界も、過去の考えや方法論を、いつまでも踏襲・維持しようとするよ
うな人物、変化を妨げる勢力は「捨て去る」必要があります。
過去の選挙で当選した人、永く政界にとどまっている人は、旧来の常識が成功
体験になってしまっています。永田町の論理、政党の論理、選挙の論理、こう
いうこと全てです。

変えねばならないなら、まず旧来の考えを棄却すること。出来ないなら、そも
そも維新の会を作った意味が無いですし、つまりは、有権者の支持など得られ
るはずがないのです。
そういう議員や候補者は、いいかげん退場して下さいと心から願います。

ものごとには二面性があり、表裏があり、変化に対して副作用もある。それも
事実です。少しずつ変えるのが、本当は理想なのかもしれません。
しかし、こと組織を変えることに関して言えば、そういうことは不可能だとい
うことが、学問的に主張されています。
国の組織、政治や官僚がなかなか変わらないのも、そういう理由でしょう。
痛みが伴っても、一度壊して作り直すことが必要です。やはり、修理・修繕で
はダメなのです。

関連記事:日本の政治を更地に(2012年8月27日)

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3 なぜ人口減少で女性や老人の労働力が必要か
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労働力の源となるのは人口で、人口の状況によって、労働力は決まることにな
ります。日本では少子高齢化が進んでいて、人口そのものが減っていくという
ことと、人口に占める高齢人口比率が高まるという2つの面で影響を受けてい
ます。

労働による生産量は、労働者の人数×1人あたり労働時間×時間あたりの生産性
ということになります。

時間あたりの生産性はイノベーション頼りということになり、労働時間は、後
で述べますが、短くするしかありません。ひとまずは、労働者の人数を減らさ
ないようにするしかないのです。
人口全体が減るという前提の中で、労働者の人数を減らさないためには、働く
意思を持った人を増やすようにするしか無いという結論になります。

男性の20代〜50代まではほぼ働いていること。将来の人材の質を高めるため
に進学率は高めなくてはいけないことを考えると、22歳以下の労働力はあて
に出来ない。つまりは、残った高齢者層と独身以外の女性層が働く意志を持
てるようにしていくしか労働者の人数を確保する方法は無いことになります。

<参考グラフ>

Rodoryokuritu men
年代別労働力率男性
Rodoryokuritu women
年代別労働力率女性
 

女性や高齢者に働く意志を持たせるためには、当然、労働時間は短縮すること
はあっても、長くすることはありえないのです。
労働時間に柔軟性がもたせられるような仕組みも有用であることになります。

女性の活用のためには、出生率を高めるための政策と同様に、雇用労働と家事、
育児が両立しやすくなるための支援が欠かせないことになります。
ベタですが、今言われている雇用対策が正しいことになります。
労働力確保の面からも、少子化問題対策のためにも、きちんと対策を進めるこ
とが重要であることがわかります。

また、高齢者に働いてもらうためには、年功賃金の仕組みを調整する必要があ
ります。
現在の年功賃金は、若いうちに企業側の損、中年で労働者側の損、定年までで
再度企業側の損となるような賃金システムで、新卒一括採用、終身雇用を前提
としたものです。定年で精算してプラマイゼロとなるような仕組みですから、
定年が延長になったり、終身雇用制が崩れたりする場合は、かなりの調整が必
要だと思われます。
そういうわけで、一方で定年延長、年金支給年齢の引き上げなどが検討されて
いるわけですが、雇用の流動化と相反する部分があり、未来の働き方を大きな
枠で検討する必要があり、議論の余地があります。

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4 なぜ小さい政党に分裂するのか
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今回の分裂騒ぎや、そのあとの結の党との合流でもめている経緯を見ると、や
はりまた勢力争いが続くんだなと感じてしまいます。

以前のブログ記事でも書いたのですが、なぜ、こういうことが続いてしまうか
の私見を再度書きます。

みんなの党の分裂は選挙制度のせい?

(中略)

衆議院選挙制度改革のメンバー

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あとがき
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この原稿はプールサイドで書きました。今日は子どもたちととしまえんのプー
ルに行ったのですが、数日前に都議会の近くのプールに行った時です。
高層ビルの谷間で、ビルのスケール感もなかなかです。午前中は上品な外国人
の方が多く、雰囲気も良かったです。
夕方になって、派手な若い女の子が多くなったのですが、気づくと半数の子が
シップとか絆創膏をしてるんですね。そう、タトゥーを隠しているのです。
それにしても異常に多かったです。プールやお風呂で不便するくらいなら、や
めたほうが良いのにと思いました。個人の価値観とはいえ、将来後悔しないの
かと心配です。きれいに消すのはほんと大変だと聞きますから。

としまえん

海老澤由紀

海老澤由紀

 

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